フェミニズムが一気に「爆発」した韓国特有の理由 日本より#MeTooが盛り上がったのはなぜなのか

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フェミニズム運動が日本より韓国で熱を帯びた理由はどこにあるのか。韓国のフェミニズムにおけるターニングポイントを踏まえて分析する(写真:AP/アフロ)
「あの事件ですべてが変わった」と多くの韓国人が口をそろえる事件がある。2016年5月に起きたソウル・江南駅付近で起きた女性殺人事件だ。それまで韓国の女性たちにとってフェミニズムは"一般的"なものではなかったが、この事件をきっかけに次々と声を上げ始め、大きな社会運動となった。
あれから約6年ーー。韓国ではその後、世界的な#MeToo運動の流れを受け、ジェンダー平等を求める動きやフェミニズム運動は”独自”に発展。ついには男女間の亀裂を生む、という予想外の事態も招いている。3月に行われる大統領選でもジェンダーは大きなテーマの1つとして候補者や支持者が激論を交わしている。韓国で今何が起きているのか。
韓国に比べ日本は#MeToo運動が盛り上がらなかったと言われるが、それでもジェンダーは避けて通れない重要な問題となっている。韓国の「今」から日本が学べることも多くあるだろう。
韓国フェミニズムの現在地に3日連続で迫る「激震『韓国フェミニズム』知られざるその後」1日目の第3回は、日本に比べて韓国でフェミニズムが熱狂を帯びた背景を在韓ノンフィクションライターの菅野朋子氏がレポートする。
【特集のそのほかの記事】
第1回:男性に不満を持つ「韓国女性たち」容赦ない本音
第2回:韓国で「ショートカットの女性」が攻撃されるなぜ

「ジェンダー」が大統領選の最大争点の1つに

韓国は3月9日に迫った次期大統領選挙モード一色。候補者は連日、競うように公約を打ち出しているが、年明け早々物議を醸したのは、尹錫悦「国民の力」(野党)候補者が公約に掲げた「女性家族部(省)の廃止」だった。

今回の大統領選挙では20~30代がスインイグボーターといわれ、ジェンダー問題は最大イシューになっている。各候補者ともこの世代の取り込みに必死で、「兵役服務時の給料アップ」や「徴兵制から志願制」、「デート暴力・性犯罪」への処罰強化などを公約に掲げており、「女性家族部の廃止」は、女性ばかりが配慮されていると不満を募らせている20~30代の男性をターゲットにしたものだった。

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こうした論争が世論を巻き込んで起き、それが大統領選挙の目玉の公約のひとつになること自体、日本では考えにくいだろう。韓国でジェンダー問題が一般世論を巻きこんで語られるようになった背景には韓国のフェミニズムにおけるターニングポイントがいくつかあった。ここでは、その変遷を振り返ってみたい。

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