フェミニズムが一気に「爆発」した韓国特有の理由 日本より#MeTooが盛り上がったのはなぜなのか

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1990年代後半にこうしたフェミニズム運動の成果が現れ始めた背景について、延世大学文化人類学科教授で、前韓国両性平等教育振興院院長のナ・ユンギョン氏は次のように解説する。

「1980年代初めに梨花女子大学大学院に女性学科が新設された背景には、1970年代から続けられてきた大学や労働界を中心にした民主化運動の土壌があったからです。

(1998年に就任した)金大中大統領はこうした動きを受け入れて女性の人権保護を支持し、女性家族部の前身となる組織を新設することによって、政府が女性の権利を法的にも行政的にも尊重するという雰囲気が社会に醸成されたことが大きかったと思います。

金大中大統領自身の民主主義への哲学だけではなく、女性の人権運動家だった夫人、李姫鎬先生の影響もありました。『支持しなければ(夫人から)捨てられる』と冗談交じりに語ったこともありました」。

経済危機で「男性モデル」が崩れた

1990年代後半は韓国という国自体が激動の時代に突入した時期でもある。1997年に経済危機に陥りIMF傘下となると、韓国は産業構造の大転換を迫られた。雇用形態は流動的になり、非正規職はこの頃から急増。激烈な競争社会となる。前出のナ教授はこう話す。

「それまで家父長制により、男性は外で”重要な”賃金労働をし、女性は家で”誰でもできる”家事や育児などを報酬なしに行うという分け方が徹底的に維持されてきましたが、この経済危機により職を失った男性の代わりに多くの女性が外に出て、家族を経済的に支えることになりました。韓国はIMFの介入により急速に構造転換が迫られて、雇用形態は流動的に急旋回し、家族を扶養できるような職に就くことが厳しくなった男性が現れます。つまり、家父長制の中の家族を扶養するという男性モデルが急激に崩れたのです」

また、韓国はこの時「IT大国」へと大きく舵を切り、そのためのインフラ作りが急ピッチで進められていった。パソコンは一家に一台、さらには一人一台という家庭もでてきて瞬く間にインターネットが広がった。

インターネットの普及によりさまざまな情報が入ってきたことで、韓国ではライフスタイルへ大きな変化をもたらした。新しいライフスタイルへの憧れ、もっと自由な生き方を求める人々が増え、家族の在り方もこの頃から変わり始めたといわれている。

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