財閥御曹司とイケメンがやたら多いワケ
世界中を席巻している「Kドラマ」ブームは、短時間でつくられたものではない。この数十年間、培われてきた韓国の映画とドラマのノウハウと制作側の力量が結集した結果だ。Netflixのテレビ部門で1位となった「イカゲーム」や「地獄が呼んでいる」「今、私たちの学校は…」など、Kドラマは演出から美術、衣装に至るまで、韓国の映画界の人材が大挙投入された。
Kドラマ産業のもう1つの軸は、ロマンティックコメディというジャンルだ。このジャンルのドラマは数十年間、韓国だけでなく世界中の女性の心をつかんでいる。世界各国の視聴者は身分と階層を超えて、男女の主人公の切ない愛に共感し、あらゆる困難を乗り越えて愛をつかみとることに成功する女性主人公をみながら、自分をも満足させてきた。
1990~2000年代、韓国のロマコで人気を博したものの多くは、シンデレラストーリーだ。見た目は清純可憐だが経済状況が厳しい家庭のヒロインが、白馬に乗った王子と出会い、1日にしてシンデレラとなる――。こんなストーリーが韓国ドラマで長い間、定番中の定番だった。韓国ドラマには、イケメンで財力も兼ね備えた財閥2世がやたら多く登場するのもそのためだ。韓国で一気に人気を得た「星に願いを」(1997年)や「パリの恋人」(2004年)などが、その代表作だ。
日本では韓流ドラマの元祖とされる「冬のソナタ」(2002年)の男性主人公カン・ジュンサンも誰もが憧れる職業を持つイケメンであり、愛する女性に対して限りない愛情を注ぎ続ける完璧なキャラクターだった。これを演じたペ・ヨンジュンを、「ヨン様」として一気に世界スターに引き上げることになった。
が、あるドラマをきっかけに韓国ドラマは変わることになる。
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