韓国ドラマ「不安定な年下男性」多出する納得理由 ヒョンビン出世作から女性の描かれ方変わった

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「愛の不時着」で、ヒロイン役として出演したソン・イェジンとの結婚を発表したトップスターのヒョンビンを韓国でスターの座に押し上げた「私の名前はキム・サムスン」(2005年)がそれだ。このドラマでは、どことなく垢抜けない名前と、ぽっちゃりした体型にコンプレックスを持つパティシエが、年下の財閥2世と恋に落ちるというストーリーで、韓国で一気に人気となった。

ヒョンビンが年下の財閥2世を演じた「私の名前はキム・サムスン」(写真:MBS提供)

この作品をきっかけに韓国ドラマにおける女性像が少しずつ変わり始めたのである。ヒロインのキム・サムスンは、男性から見ると「守ってあげたい」と思わせるような見た目ではない。またパティシエとしての自分の仕事にプライドを持ち、仕事を愛する堂々とした現代女性だ。

女性が年上の「年の差カップル」が多出

これ以降、韓国で女性の社会的、経済的地位が上昇し始め、ドラマの中の性的役割も変わり始めた。女性はこれ以上、自分の欠点を補ってくれる白馬の王子を待つというキャラクターに興味を失った。そのため、シンデレラコンプレックスを刺激するような受け身的な女性よりは、自分の仕事だけでなく恋愛にも能動的、主体的な女性という役がドラマで脚光を浴びるようになる。

興味深いのは、社会的・経済的地位が低い男性であっても、女性の母性本能を刺激してしまい、その男性に対して女性が純粋な恋愛感情を持つファンタジーが生じたということだ。その後、韓国ドラマには女性が年上、男性が年下というカップルがよく登場し、「年下様」というキャラクターはスターの道へ近づく第1歩と認識されるようになった。

ネットフリックスのドラマ「地獄が呼んでいる」の主人公であり、韓国では各種の演技賞を総なめした演技力と興行力を持つ俳優として認められているユ・アインは、韓国のテレビ局JTBCのドラマ「密会」(2014年)で大人気を得た。

「密会」はバイク便の配達人という仕事をしながらピアニストになるという夢を持つ20代男性と、成功するために、つねに前だけを見続けて生きてきた40代後半のキャリアウーマンとの年の差愛という、韓国社会では破格のメロドラマとして話題となった。

韓流ドラマ「梨泰院クラス」のパク・ソジュンも、バイプレイヤーの役が多い俳優だが、韓国のケーブルテレビtvNドラマ「魔女の恋愛」(2004年)で年下の男を演じて注目を集めた。

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