このドラマで彼は、いろんなアルバイトをこなすなど経済的に不安定な20代男性の役を演じたが、14歳年上の時事週刊誌の女性記者との恋愛を描いて多くの年上女性のファンをつかんだ。韓流スターのイ・ジョンソクは2013年に「君の声が聞こえる」で、人の心を読み取ることができる超能力を持つ少年役を引き受け、純粋で天真爛漫な魅力でスターダムにのし上がった。
このように、韓国ドラマで主体的、積極的な女性像が描かれるようになった理由は、30~40歳代の女性が大衆文化の主要消費層であるためだ。
彼女たちはテレビドラマや映画はもちろん、各種コンサートや講演に惜しみもなく金を出す「お得意様」だ。1990年代の韓国大衆文化の黄金期に20代として過ごした「X世代」は、文化を消費することに強い影響力を発揮した。
「ゴールドミス」(年齢が高い独身女性で金持ちの女性のこと)、「アルファガール」(勉強もスポーツも優秀で、かつリーダーシップに豊富な女性のこと)という言葉に代表される彼女たちは、実際に経済力を持ち、社会でも上流階級に存在する。そのため、彼女たちの変化した性平等意識や思考方式を反映した作品が増加することになった。
社会的不平等に立ち向かう主人公に脚光
最近では自己主張が強いとされる「MZ世代」(1980年代半ばから1990年代初頭に生まれたミレニアル世代と、1990年代後半から2010年の間に生まれたZ世代を合わせた言い方)が大衆文化の主な消費層として拡大しており、ドラマにおいて伝統的な性的役割を見かけることがほとんどなくなった。今では、社会的不平等や、限界を超えて主体的に人生を生き抜く強靱な女性たちの話が脚光を浴びている。
実際に2021年の韓国ドラマと芸能番組は、主役でストーリーを主導的に進める女性が増えた。「女性はかくあるべき」という役割や、メロドラマの相手や男性の行動に耐え忍ぶような役にとどまることなく、アクション作品にも女性が活躍するようになった。
2021年下半期、韓国の調査会社によれば、「海街チャチャチャ」「恋慕」「マイネーム:偽りと復讐」「ク・ギョンイ」「酒飲みの都心の女たち」など女性が中心に演じるドラマが半分以上を占めた。
ドラマ「ク・ギョンイ」はドラマ「宮廷女官 チャングムの誓い」をはじめ、端麗な女性の代名詞である女優のイ・ヨンエが大胆なイメチェンを図ったことが話題に。ジャージを着てその上にトレンチコートを羽織るような気さくな探偵として、さまざまな未解決事件を解決していく演技には、多くの女性たちが快哉を叫んだ。
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