「イカゲーム」は女性出演者が自ら生き延びるため、自分の肉体を道具として活用し、男性を誘惑する人物として描写されたことで、「女性を見下している」との批判が起きた。これについてファン・ドンヒョク監督は「極限の状況の中でできる行動を見せようとしただけで、女性を見下したとか嫌悪するといった意図はまったくなかった」と釈明した。
現在「イカゲーム」「地獄……」に続いてNetflixのテレビショー部門で1位になったKドラマ「今、私たちの学校は…」では校内性暴力が取り上げられている。10代の女子高生の制服の上着を脱がせ、携帯電話で撮影する場面がセンセーショナルで不必要だという指摘が視聴者を中心に沸き起こった。これについてイ・ジェギュ監督は「社会的な悲劇を取り上げようとしただけで、視聴者を刺激しようとする意図ではない」と述べた。
ドラマは女性作家、監督、スタッフが多い
もちろんこれは、 Netflixのドラマの中には、マニアらに訴求するリアリズム的な特性が強調されたものが多いことと関係がある。しかし、今回の指摘を契機に、多くの韓国映画・ドラマの制作者にとって、性への認知の仕方や感受性、性平等に関する問題意識が高まっていることを実感させられた。そのため、こういう問題意識が制作陣にとって、作品の方向性について大きな影響を与えただろう。
特に韓国ドラマの場合、女性作家と監督など女性スタッフが多く、彼女たちは絶えず多様な女性キャラクターを通じて女性の行動の変化や多様性をつくり出した。最近では放送前にすべて収録してしまう方法が定着しているが、これまでは一部の作家の場合、放送中のドラマであっても、視聴者の反応を注意深く見極めながらドラマ制作にそうした反応を積極的に反映させるケースも多かった。
どの国よりもドラマとストーリーを重視する韓国の視聴者は、放送局に対する好みがそうとう分かれるためだ。また各種の論争を引き起こすドラマに対しては、スポンサーへの不買運動を行うことも辞さないなど、視聴者の主権意識も徐々に高まっている。
一方で、韓国映画は相対的にまだ保守的な側面が強く残っている。男性監督と俳優を中心がなって業界を動かしている男性中心主義の文化が強い。
しかし、2021年の第93回アカデミー賞で、韓国の俳優で初めて女性助演賞を受賞したユン・ヨジョン氏と、2007年のカンヌ映画祭で女性主演賞を受賞したチョン・ドヨン氏など、韓国人女優の演技力は世界的に認められている。最近では韓国映画界にも女性監督の躍進が目立つようになった。これにより、韓国の大衆文化にはこれまでと違った性平等意識が反映された、多様な女性を描くドラマと映画コンテンツが増えてきそうだ。
(翻訳:福田 恵介)
(2日目第2回は女性たちが語る「日韓エンタメ」の決定的な違い)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら