K-POP「強い女性アイドル」が生まれた大人の事情 「韓国最強コンテンツ」に対するもう1つの視点

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女性からも「かっこいいい」と人気を集める韓国の女性アイドルが増えている背景にあるものとは。写真は昨年韓国で開かれた「ワールドK-POPコンサート」に集まったファン(写真:REX/アフロ)
完璧なスタイルと美貌を備え、難易度の高いダンスや歌を華麗にこなす。舞台の外では、最新のファッションに身を包みながら、弱音や悩みを吐露したり、お茶目な姿を見せ、ファンたちに寄り添う……。今やK-POPアイドルは世界中で憧れられ、また共感される対象となっている。
興味深いのは、こうした韓国アイドルの成功が多くの学者の研究対象となっていることだ。その内容はファンビジネス研究から女性学まで幅広いが、フェミニズムの分野では、いかに韓国女性アイドルが「かわいい」「か弱い」「幼い」と言ったイメージから脱却を図り、「ガールズエンパワーメント」、すなわち、女子に勇気や希望を与えるポジティブな役割を果たしているかが語られることが多い。
が、これとは別の見方をしている学者がいる。K-POPに関する著書や研究を複数執筆している、アメリカ・ペンシルベニア州のチェイニー大学コミュニケーションアート学部のグーヨン・キム准教授だ。曰く、K-POP業界には「何世紀にもわたる男性上位の文化が残っている」。
どういうことか。特集「激震『韓国フェミニズム』知られざるその後」2日目3本目は、K-POP発展における独自の考察をキム准教授に聞いた。
【特集2日目のそのほかの記事】
第1回:韓国ドラマ「不安定な年下男性」多出する納得理由
第2回:女性たちが語る「日韓エンタメ」の決定的な違い

K−POPと韓国経済の深い関係

――なぜK-POPの研究を?

私の専門分野はもともと社会運動に関するもので、K-POPではありません。最初に興味を持ったのはちょうど10年前、2012年1月13日に少女時代がアメリカでテレビデビューをした時です。

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当時私は彼女たちのことを何も知りませんでしたが、デビューを果たした翌日、多くの生徒が私に彼女たちのことを聞いてきた。これがきっかけです。ただし自分は個々のアイドルというより、K-POPアイドルが作られるシステムに関心を持っています。K-POPは今の韓国の社会的情勢を如実に反映しているからです。

もっとも、私の研究は世の中にたくさんあるK-POPアイドルの研究とは内容的に対極にあるでしょう。95%かそれ以上の研究者はK-POPの成功を祝福するような内容の研究をしていますが、私は今のK-POP業界に対しては懐疑的、批判的な立場です。ただK-POP業界の動きはすさまじく早いため、アカデミックな研究者は少し遅れがちなところがあるかもしれません。

――いくつかの研究でK-POPの発展は韓国経済と深いかかわりがあると書いていますね。

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