それと同じようなことが今のK-POP業界でも行われていると言っていいでしょう。男性アイドルに比べて、女性アイドルは一部を除いて給与など待遇は劣り、ときにスキャンダルに巻き込まれることもあります。
競争が厳しい業界で起きやすこと
――2016年以降、韓国ではフェミニズム運動が盛んになりましたが、こうした運動がK-POP業界に与えた影響は?
その質問には非常に慎重に答えたいと思います。その点については十分な研究をしていないからです。ただ、オブザーバーとして答えるとするならば、政府から韓国の芸能事務所について女性アイドルの扱い方についてなんらかの働きかけがあったと考えます。一部は給与など待遇が改善したと思われますが、基本的には大きな変化はないのではないでしょうか。
韓国企業の多くは国内事業では成り立たないことを認識しており、特に1997年以降は韓国社会における競争は凄まじいものになっています。労働市場ではいいポジションをめぐる競争が厳しさを増していて、その中でもK-POPは最も競争が激しい業界です。
つまり、この業界を目指す人はたくさんおり、韓国の芸能事務所には訓練生という名の「ワナビー」が大勢いる、という雇用者に優位な構図になっています。過去に比べて待遇などは改善しているものの、韓国社会の何世紀にもわたるジェンダーヒエラルキーが根底にある限り、多くは変わっていないのではないかと推察します。
――韓国の女性アイドルは「ガールクラッシュ」、すなわち、女性から人気を集める「かっこいい女性」が多いと言われます。つまり、女性の視点を重視しているのではないですか。
この点については私も研究をしており、非常に重要な指摘と考えますが、その本題に答える前に、女性K-POPアイドルの歌(歌詞)や衣装、イメージなどがどのように変わってきたかを考える必要があるでしょう。
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