K-POP「強い女性アイドル」が生まれた大人の事情 「韓国最強コンテンツ」に対するもう1つの視点

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K-POPの成功は、徹底的なマーケットリサーチ、そして研究開発の成果だ。業界の人間は凄まじいほどのリサーチや研究を行い、聴衆にどういうイメージ、どういったメッセージ、どういう曲、どういうパフォーマンスや衣装が受けるのかを分析しています。

例えば、BTSが成功した最大の理由は――彼らは男性アイドルなので、女性アイドルとは違うところがありますが――ソーシャルメディアを巧みに利用したことにあります。彼らはファンがどういったものを見聞きしたいかに耳を傾け、それを体現しているのです。

マーケットリサーチを徹底的にやることによって、聴衆がどんなメッセージを聞きたいのか、どんなことにお金を払いたいのかを見極め、アイドルがそれに対応できるというわけです。つまり、イメージは聴衆が何を求めるかによって変わる、ということです。それが衣装やメッセージ、パフォーマンスにも反映されます。一般の市場に当てはめればシンプルでわかりやすいでしょう。顧客が求める商品を開発して発売する、という。

そして、アイドルがファンの求めに応えるのは難しいことではありません。なぜならアイドルたちは非常に厳しいトレーニングを受けてきているのだから。アイドルのイメージを決めるのが男性なのか、女性なのか、というのはここでは大きな問題ではありません。業界がファンが求めているイメージに合わせているだけなのですから。

アイドルは女性に癒しと希望を与える存在

――K-POPのターゲットは圧倒的に女性なのですね。

私の考えでは、K-POPでは、アイドルが女性であれ男性であれ、メインのターゲットは女性、女子です。そしてそれには理由があります。現在、韓国の主要産業はサービス業で、これに多くの女性が従事している。サービス業は顧客対応などもあり、従業員は非常に感情的に疲弊します。

一方で、こうした女性の多くはかつてよりも多くの可処分所得を得ています。そうしたお金を疲れた女性たちが何に使うか、といえば癒しです。感情的に搾取されている女性たちは、自分たちのすり減らした感情を満たしてくれるものを求める。多くの韓国企業がここをターゲットしており、アイドルもその1つです。

日本でもイケメンカルチャーがあると思いますが、韓国でも2000年ごろから「미소년(ミソニョン=美少年)」と呼ばれる人たちが人気を得るようになっています。お気に入りのアイドルがにっこり笑い、優しい言葉をかけてくれるという癒し効果は大きい。

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