フェミニズムが一気に「爆発」した韓国特有の理由 日本より#MeTooが盛り上がったのはなぜなのか

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「それまでも、畑道や暗い裏道などで女性が殺害される痛ましい事件はありましたが、『私にも起こりうること』とは思っていなかった。江南はソウルでも人気の街で、若い世代であれば誰でも一度は足を運ぶ場所です。レストラン、カフェ、クラブ、劇場など文化的空間が集っていて、夜遅くまで明かりは煌々として、遊んでいても安全なところでした。

そんな場所で女性を標的にした痛ましい事件が起きてしまった。あまりにも身近な、安全な場所で起きた事件は、自分にも起きえていた事件として女性たちに恐怖と、そして同時に怒りとして迫ったのです」

そしてこの事件の5カ月後には日本でもベストセラーとなった『82年生まれ、キム・ジヨン』が出版され、大きな反響を呼び、韓国では130万部を超える大ベストセラーになった。

あっという間に広がった#MeToo運動

そんな一連の出来事が下地となり、アメリカなど世界で起きていた#MeToo運動が2018年には韓国でも本格的に繰り広げられた。

口火を切ったのは女性検事だった。2018年1月、テレビに出演し上司からのセクハラを告発。この後#MeToo運動はあっという間に政界、演劇界、文学界に広がった。

次期大統領の声もあった忠清南道元知事が秘書からのセクハラ告発を受け懲役3年の実刑となり失脚したほか、演劇界、文学界でも裁かれて実刑となり現在も服役中の人や、告発を受け、自死する人も出た。

その年の5月には、芸術大学の弘益大学のクロッキー(写生)の授業中、男性モデルのヌードを盗撮し流布したとして同僚の女性モデルが逮捕された。8月に懲役10カ月の判決が出ると、フェミニズム団体は「盗撮の犯人が男性だった場合は実刑になることはまれ」や、「被害者が女性の場合はこれほど早い捜査は行われない。男女の差別なく公平な捜査を求む」ことを訴えて街でデモを繰り返した。この女性モデルは、控訴審でも懲役10カ月となり、被害者には2500万ウォン(約240万円)の賠償金が科せられている。

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