韓国はフェミニズムにかぎらずコトが起きると、あっという間にムーブメントとして現れているように見える。日本との違いはどこにあるのだろう。前出のナ教授はこう分析する。
「韓国は誰かが声を上げた時にそれをサポートできるすべてがソウルや大都市に集中しています。特にソウル中心主義といっていもいいほど、ソウルには大学、運動団体、マスコミのほとんどがあります。人材もアイデアも、資本もシステムもソウルに集っていますから、連携も早くシナジー効果は相当なものです。こうした早い動きは、端から見ると大きなムーブメントとして見られるのかもしれません。ただ、地域で起こった事柄については関心度が低い傾向にあることは否めません。
地方自治体が昔からしっかりと根づいている日本とはまったく異なる環境ともいえるでしょう。日本は自治体単位では上手く機能していると思いますが、運動もそれぞれで動いている印象があります」
「ジェンダー葛藤」ではなく「ジェンダーいじめ」
ところで、「ジェンダー葛藤」というこの表現。韓国ではメディアはことあるごとに「ジェンダー葛藤」とさかんに報じるが、前出のナ教授は「それはメディアが作った枠組み」と一蹴する。
「葛藤というのは両者の関係がフラットな時に使われる言葉でしょう。昨年の東京オリンピックの時にアーチェリで金メダルを獲得したアン・サン選手がショートカットで女子大学に通っていることからフェミニストだとして男性中心のコミュニティサイトで「サイバーブリイング(cyber bullying、サイバー上のイジメ)がありました。ところが、韓国ではこれを『ジェンダー葛藤』と表現しました。
一方、外信では『ジェンダーブリィング』としました。外信はそれがジェンダー暴力だと認識したわけです。葛藤という言葉はたぶんに政治的、あたかも男女が対等に競っているという錯覚を持たせています。メディアがきちんと報道しないため、韓国ではジェンダー葛藤という表現がいまだに使われているのです」
自らをフェミニストだと自認する、全国紙の女性記者もこう話す。
「20~30代のフェミニストはジェンダーの話はカフェなどの公共の場ではせずにかぎられた空間でするとよく言います。これだけ声を挙げるようになった韓国でもまだジェンダー問題はタブーのような存在。どこでも堂々と話ができるようになった時ジェンター問題も前に進めると思うのですが」
3月9日には新しい大統領が誕生する。新政権下で韓国のジェンダー論争はまたどう動いていくのだろうか。
(2日目第1回は韓国ドラマ「不安定な年下男性」多出する納得理由)
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