ヴァンフォーレ甲府が低予算でも結果を残せる訳 伊東純也を磨いたチーム、佐久間悟社長兼GMに聞く
吉田監督のもとJ1昇格を目指すが、スポンサーの注目度が高まり、Jリーグからの配分金も増えるJ1入りは簡単ではない。佐久間氏が続ける。
「J2の22チームのうち、半数程度がJ1を経験しています。チーム人件費がすべてではないですが、予算規模が小さいと優秀な選手をつなぎとめることが難しい。J1に昇格した中小クラブは1年でJ2に降格する例も多いのです」
そのチーム編成は、「保有」「新人獲得」「育成」「移籍」で整えるのが基本だ。
原石を磨ける理由は「長所+実戦経験」
ヴァンフォーレ甲府は原石を発掘して磨くのも持ち味だ。冒頭で紹介した伊東純也選手には、神奈川大学1年次から注目。同大4年の佐々木翔選手(サンフレッチェ広島)のプレーを視察した森淳(もり・あつし)スカウトが、その試合で交代出場した伊東選手のスピードに対戦チームが翻弄され、目をつけたのが最初だった。
その佐々木選手や稲垣祥選手(名古屋グランパス)もヴァンフォーレ甲府でプロ生活をスタート後、ステップアップして日本代表にも選ばれた。なぜ、甲府はそれができるのか。
「トレーニングやコーチングの共有を含めて、選手が育つ環境が整っています。獲得した選手の長所を伸ばし、できるだけ試合に使う。伊東選手が入団した2015年、私は5月から監督でした。スピードやスペースを意識したプレーセンスはずば抜けていたけど、守備への貢献度が低かったので、守備の意識を繰り返し徹底させました。
今では欧州で活躍し、攻撃面に加え、前線からの守備技術も高い選手となっています」
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