ヴァンフォーレ甲府が低予算でも結果を残せる訳 伊東純也を磨いたチーム、佐久間悟社長兼GMに聞く
いわば満を持しての社長就任だが、新型コロナウイルスの影響で大半のクラブが収入減となり、経営の舵取りは厳しい。
「2021年度の営業収益は約12億4000万円(集計中)です。J1時代の約17億3000万円より約5億円減りました。内訳で大きいのはJリーグからの分配金(J1とJ2の配分差)の約3億円減、コロナ禍で観客制限もあった入場料収入の約1億円減など。一方で全体の約6割を占めるスポンサー収入はJ1時代と大差なく、地域のみなさんに支えられています」(同)
Jリーグが2021年7月に開示した「2020年度Jクラブ決算一覧表」(J1、J2、J3)では、ヴァンフォーレ甲府の営業収益(企業でいう売上高)は全56クラブのうち32位。J2の22クラブ中でも14位だった。小口広告を集める甲府方式にも定評があるが、売り上げ規模は小さい。
かつては13年連続で黒字経営だったヴァンフォーレ甲府も2019年度は460万円の赤字。2020年度も5300万円の赤字と2期連続の赤字となった。ただ、多くのJクラブが2020年度は厳しい運営を強いられ、例えば名古屋グランパスは営業収益52億3600万円に対して、5億2900万円の赤字を計上した。
身の丈に合った強化を進める
チームの現状についても簡単に紹介したい。
「ヴァンフォーレ甲府は若い選手も多く、チーム戦術の構築と継続性が強みです。営業収益が伸び悩むなか、選手はクラブ基準の年俸で頑張ってくれており、主将の新井涼平選手をはじめ全員がJ1昇格に燃えています。泉澤仁選手(→大宮)、メンデス選手(→京都)など主力4人が移籍しましたが、新加入のメンバーも含めて戦力の底上げを図っている段階です」
ヴァンフォーレ甲府のチーム編成はGMが全責任を担い、監督は現場の指揮官だ。新任の吉田達磨氏は、シンガポール代表監督を任期途中で退任したのちに、ヴァンフォーレ甲府の監督に就いた。実は2017〜2018年にヴァンフォーレ甲府監督を務め、成績不振で途中解任された。だが良好な関係は続き、今回再登板となった。
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