東京ヴェルディを子会社化した「ゼビオ」の深謀 名門サッカーチームに何が起きていたのか

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「ヴェルディは一体誰のものなのでしょうか」。12月20日、ファンに涙ながらに訴える羽生英之・東京ヴェルディ社長。そのわずか5日後、羽生社長は辞任に追い込まれた(写真: J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images)

「私が社長の座を降りるのにはまったく躊躇はありません。それはこのヴェルディという偉大なクラブの歴史のほんの小さな出来事にすぎません。
だけど、僕らの未来がいい方向に向かっていくという確信がなければ、私はこの場を去るわけにはいかないんです」

12月20日、東京都調布市にある味の素スタジアム。東京ヴェルディの羽生英之社長はシーズン最終戦を終えた後、観客席のサポーターに向けてそう訴えかけた。

5日後に突然の辞任

東京ヴェルディは2009年からサッカーJ2リーグに身を置くが、かつてはキングカズこと三浦知良選手などが所属しJリーグ創生期を支えたチームだ。その名門が資金難に陥り、増資策をめぐる騒動が起きていた。

「ヴェルディは一体誰のものなのでしょうか?」。羽生社長が涙ながらに訴えた、その5日後。12月25日に東京ヴェルディは、6人いる取締役のうち、羽生社長を含めた3人の取締役の辞任を発表した。

発表文には、羽生氏を始め辞任した取締役3名から「弊クラブの信用や評価を毀損する行為を辞任以降行わないことの宣誓」を取り付けている、との異例の注意書きが付せられていた。

東京ヴェルディは、増資を目的とした臨時株主総会の開催を12月27日に予定していた。開催を主導したのは社長の羽生氏だった。

ところが開催直前になって突然の辞任。そして、大株主のゼビオホールディングス(HD)が東京ヴェルディの子会社化に踏み切り、臨時株主総会も急遽取りやめとなった。この一連のドタバタはなぜ起きたのか。

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