東京ヴェルディを子会社化した「ゼビオ」の深謀 名門サッカーチームに何が起きていたのか

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「ゼビオ」「ヴィクトリア」などを展開する大手スポーツ用品小売りのゼビオHDが支援を始めたのは2010年。東京ヴェルディは日本テレビが運営から撤退した後に破綻寸前となり、Jリーグ主導で経営再建が進められていた。このときJリーグ事務局長だった羽生氏が社長に就任した。

だが、東京ヴェルディはその後1度もJ1に昇格できず、低迷が続いた。この10年間の観客動員数はほぼ横ばい。J2の平均観客動員数をも下回っている。公表されている2019年1月期の当期純利益は62万円、純資産はわずか3800万円に過ぎない。直近2020年1月期は対外的に公表されていないが、ほぼ同様の数字だったようだ。

このような中、今期に入ってコロナ禍の影響を受け採算が一気に悪化。足元では5億円の債務超過に陥った。

新株予約権を使った特殊なスキーム

ゼビオHDによる支援は、新株予約権を使った特殊なスキームだった。ゼビオHDは、新株予約権により東京ヴェルディの株式の56%を取得する権利を持った。また、この新株予約権には、ゼビオHD以外の第三者が増資を引き受けた際、同じ株数だけゼビオHDの権利が増え、転換後のゼビオHDの持ち分比率が維持される条項が付いていた。

ゼビオHDは長い間、予約権を行使せず、支援の前面に出ることはなかった。一方で、ゼビオHDの持ち分比率を維持する条項がある以上、東京ヴェルディはゼビオHDの意向を無視して第三者から増資を受けることはできない。

羽生氏はチームサポーターの前で「10年前のスキームがすべての元凶」と明言。サポーターの間では、「クラブ存続に奔走する羽生社長vs.動かないゼビオHD」という構図ができあがった。

しかも一部メディアで、ゼビオHDが支援策として、東京ヴェルディの運営するスクール事業の買収を提案したことが報じられた。「ゼビオはなかなか金を出さないうえに、東京ヴェルディを解体しようとしている」。そんな見方が広がった。

27日に予定されていた臨時総会は、そうした現状を打破するため、ゼビオ以外の第三者からの増資を可能にする定款変更を目指していた。

だが、取材を進めると、まったく別の側面が見てくる。

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