東京ヴェルディを子会社化した「ゼビオ」の深謀 名門サッカーチームに何が起きていたのか

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新経営陣はゼビオHDから派遣された取締役2人とアカツキから派遣された取締役1人の3人体制となった。

新経営陣となった東京ヴェルディは公式ページで、ゼビオHDによる子会社化を受け入れた理由を説明している。目を引くのは、東京ヴェルディの経営が悪化した要因として、「過剰な経費利用等が常態化」「複数の不透明な商取引」があったとの指摘だ。

子会社化に伴い、ゼビオHDは監査チームを派遣、東京ヴェルディの事業運営の全容把握に着手した。そのうえで追加の資金支援策を検討し再建計画を練る。中長期的には、若手選手を育成する環境作りや、女子チームやヴェルディの抱えるバスケットボールなどを含めた総合型スポーツクラブとしての強化を進める構えだ。

ヴェルディへの投資を納得させられるのか

いずれにしても、一連の騒動は、ゼビオHDによる東京ヴェルディ子会社化で一応の決着を見た。一方、ゼビオHDは子会社化に伴いのれんを一括償却、7.5億円を2021年3月期に特別損失として計上すると発表した。

ゼビオHD側はこの特別損失について、「子会社化してすぐに特別損失を計上することになったが、覚悟を持って企業価値を早期に回復するという意味で計上する判断をした」と説明する。なお、東京ヴェルディにこれまで投じてきた金額は、スポンサー料や新株予約権、人的支援も含めると10億円程度のようだ。

東京ヴェルディへの支援強化はスポーツ振興という点では社会的意義があるだろう。だが、事業投資という点ではどうか。足元の資金繰りのため、1月末頃にも1億円程度の追加支援が早速必要になるとみられる。

「東京ヴェルディへの投資負担はゼビオの新店1~2店舗程度のレベル。しかもある地域を商圏とする店舗と異なり、全国区でスポーツの楽しみを発信していくことができ単体として事業が成立する。投資効率は高い」

ゼビオHD関係者はそう自信をのぞかせる。しかし、今回の東京ヴェルディ子会社化はゼビオHD株主にとって寝耳に水だったはずだ。納得してもらうだけの説明が必要だろう。

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