双子の元Jリーガーが語る「アスリートのうつ」 「経験を伝えたい」と現役時代の闘病記を本に
プロテニスの大坂なおみ選手が「うつ」状態を告白して休養していたが、東京五輪開会式で聖火リレーの最終走者として点火した姿は世界中の人々を勇気づけた。だが、その後の予想外の敗退は、メンタルケアの難しさを印象付けることにもなった。
その大坂選手より前に、現役時代のうつ病を告白し、手記を出版した双子の元Jリーガーがいる。サッカーJ1、サンフレッチェ広島(広島市)の森﨑和幸さんと浩司さん(40歳)だ。共著『うつ白~そんな自分も好きになる』(TAC出版、2019年)には、心の葛藤や症状、対処法が素直に書かれている。
「森﨑ツインズ」としてファンに愛され、いまはチームのスタッフとして働く2人は「僕らの経験を、相談できずに悩んでいる多くの人たちに役立ててほしい」と話す。最近では女優の深田恭子さんが「適応障害」で休養に入るなど、メンタルヘルスの理解が進む環境になりつつあり、心も体も強靭と思われていたアスリートも、実は普通の人間だという共感が広がっている。
全国のアスリートから、心の悩みの相談多数
浩司さんの公式SNSには最近、全国のアスリートたちからの相談が続々とメールで寄せられている。「他のチームのサッカー選手、違う競技の女性選手からの相談もありました。身近に相談できる人がいないのでは」と、浩司さんは見ている。「根性」など精神論が今なお幅を利かせているスポーツ界では、監督やコーチに悩みを打ち明けても、理解されなければ、出場メンバーから外されてしまい、最悪、解雇されてしまう心配もある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら