双子の元Jリーガーが語る「アスリートのうつ」 「経験を伝えたい」と現役時代の闘病記を本に
大坂さんが会見を拒否し、うつを告白したことに対し、2人とも理解を示す。「体調が悪い時に取材を受けるのは、思考力が低下しているのでつらいんです。僕はきちんと答えたいのに、答えられないストレスがありました。大坂さんも多分、きちんと答えたいと思いながらできなくて拒否したのだと思います。僕もそうでしたが、弱みは見せたくないですから」(和幸さん)。
東京五輪・パラリンピックについては、無観客試合が選手たちの精神面に影響することを懸念していた。「練習試合のような感じでしょうか。声援で普段以上の力が出せることもあるので、モチベーションの維持が難しい」(和幸さん)。
広島市出身の「森﨑ツインズ」は、ともに小学校時代からサッカーを始め、現役時代のポジションはMF(ミッドフィルダー)。サンフレッチェ広島一筋でプレーを続け、3度のJ1優勝に貢献した実績を持つ。
兄の和幸さんは1999年にクラブ最年少でJリーグにデビューし、2018年に引退。弟の浩司さんは2000年にデビュー、2004年にはU-23日本代表としてアテネ五輪に出場、2016年に引退した。和幸さんは現在、チームの「クラブ・リレーションズ・マネジャー(CRM)」として営業担当、企業のスポンサー回りなども行っている。一方の浩司さんは「アンバサダー」としてチームの広報を担う。県教委と組み、オンラインで不登校児童向けのサッカー指導を行うなど活動の幅を広げている。
「早く治りたい」と大量の薬を飲む
『うつ白~そんな自分も好きになる』には、心の葛藤とうつ病の発症、症状が事細かに書かれている。2人が「うつ」を意識したのは20代前半だった2000年代初頭で、交互に症状が表れる。最初は目の違和感で、ボールがはっきり見えなくなった。選手としては致命傷である。「視力が落ちたのかな、とコンタクトを直したけれどやっぱり変だなと」(浩司さん)。
現役時代はJ2陥落からJ1への復帰、リーグ優勝争い、アテネ五輪出場権争い、チーム内のポジション争いと、つねに競争とプレッシャーにさらされた。双子として注目されて比較され、「どっちが上手いのか、という目で見られるのもつらかった」(和幸さん)。
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