双子の元Jリーガーが語る「アスリートのうつ」 「経験を伝えたい」と現役時代の闘病記を本に
本を出すのは自分たちの弱みをさらけ出すこと。引退後に出版を決めたのは、支えてくれた人たちへの恩返しとして経験を書き、広く役立ててほしいと考えたからだ。「弱みを見せられる人は強い人である」という医師の助言にも勇気づけられたという。
2人はアスリートの「第二の人生」にも理解を求める。「サッカーは団体競技で、みんなで同じ方向に向かって諦めずに頑張る習慣が身についている。そんな経験は、一般企業でも必ず役に立つと思う。引退後の選手たちは、一定のパソコンスキルなどを身につければ大きな戦力になるはず。ぜひ受け入れていただけたらと思います」(和幸さん)。
「経験した僕らが、医師と組んでサポート体制を」
筆者はかつて、ラグビー日本代表監督を務め、敏腕の銀行ディーラーとしても活躍した「二足のわらじ」で知られた故・宿澤広朗氏にストレス解消法を尋ねたことがある。「仕事のストレスは仕事でしか解消できない」という答えで、試合でも市場でも、負けたら取り返す、勝ち続けることを信条としてきた人だった。
そんな宿澤氏は15年前、休日の登山中に急性心筋梗塞で命を落とした。三井住友銀行の専務に昇格したばかりの享年55歳。不調を感じさせるシグナルを周囲は察知できなかった。弱みを見せず、長年ストレスを抑え込み、知らず知らずのうちに命を縮めてしまったのではなかったか、と残念に思う。
日本スポーツ協会公認スポーツドクターで、北里大学メディカルセンター精神科の山本宏明氏はアスリートのメンタルヘルスについて、「競技種目や環境によっても差があると思われるが、少なくとも一般と同水準のリスクが存在すると考えたほうがいい」と話す。
日本のスポーツチームは、海外に比べ、まだまだサポート体制が整っていない。和幸さんと浩司さんは「うつを経験した僕らがメンターになり、医師とタッグを組むような仕組みを作りたい」と話している。
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