「売れない」と言われたポケトークが快進撃の理由 齋藤太郎×尾原和啓のクリエイティブ対談3
尾原:僕、通訳機のポケトークが発売される前、「こんなものは絶対に売れない」って太郎さんに言ってたじゃないですか(笑)。そりゃ翻訳の精度は上がったかもしれないけれど、前から通訳機はあったわけだし、そもそもスマホには自動翻訳の機能がついているんだから。
齋藤:言ってましたね(笑)。
尾原:でも太郎さんはそれを笑って聞き流してくれた。それでポケトークが発売になって、明石家さんまさんのCMを見たときに、「ああ、そういう課題の切り方をしたのか」って、本当に地団太を踏みましたよ。
つまりポケトークの登場を、iPhoneの登場に匹敵するくらいの大事件として見せた。なんでこれを自分で思いつけなかったんだろうって思いましたね。
そのあと「太郎さんがやったことって、こういうことですよね」って答え合わせさせてもらいましたけど。
名無しの権平の戦い方
齋藤:僕自身はアメリカで生活した経験があるので英会話に不自由しないけれど、英語コンプレックスを持つ日本人はすごく多いでしょう。そういう人にとっては、ポケトークを1台持っていくだけで、海外で会話が通じるようになるのは大事件だということに気がついたんです。しかもポケトークはインターネットに接続して使うので、世界中の62言語に対応できる。
だから広告の作り方としては、昔のテレビ番組「電波少年」みたいに海外に突撃するとか、「YOUは何しに日本へ?」みたいに日本に来ている外国人に話してもらうとか、いろいろ考えました。でも最終的に、ポケトークの発売元はソースネクストというあまりメジャーではない会社だから、いわば「名無しの権兵衛」が勝つには、メジャーなタレントを起用して一気に話題をつくるしかないという結論になった。
尾原:なるほど。