「何をしたいか」が定まってない人は大成しない 出口治明×尾原和啓「歴史がなぜ面白いのか」

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APU(立命館アジア太平洋大学)学長の出口治明さん(左)と『ネットビジネス進化論』の著者・尾原和啓さんによる「歴史」をめぐるオンライン対談をお届けします
歴史に関する本を何冊も執筆し、無類の歴史好きとしても知られるAPU(立命館アジア太平洋大学)学長の出口治明さんが、インターネットの歴史と進化の軌跡を描き出した『ネットビジネス進化論』の著者、尾原和啓さんと「歴史」をめぐってオンラインで対談。「歴史が苦手な人は学ぶ面白さの本質を知らない」(2020年7月18日配信)、「コロナ後に勝ち続ける人を形作る決定的な要素」(7月21日配信)に続く全3回の最終回をお届けします。

アップロードの楽しさを教えるブラジルの教育

尾原 和啓(以下、尾原):実は、ネットの黎明期を知っている人ほど、インターネットのいちばんの不幸は、ダウンロードするほうが楽すぎたことだと言うんです。インターネット以前のパソコン通信時代からやっている人間は、ダウンロードしたくても、そもそも情報がなかったので、まず自分からアップロードする必要があった。

それに、いまみたいに簡単に検索できるグーグルのようなものもなかったから、自分で発信する人には、「おもろいこと発信しているやん、たぶんこれも好きやで」と教えてくれる人がいた。つまり、発信する人の熱量によって情報が集まってくる経験を、古くからネットに入り浸っていた人ほどしているんです。

ところが、インターネットが普及してから入ってきた人たちは、すでにネット中にあふれていた情報をダウンロードするだけで楽しめた。あまりにダウンロードが楽になってしまったので、アップロードする面白さがわかりにくくなってしまったというわけです。

その話に関連して、僕が面白いと思うのは、ブラジルのインターネット教育の話です。日本の小学校でインターネットを使うと、たいていテーマを与えられ、「インターネットで調べて新聞をつくろう」「パワーポイントでプレゼンしよう」となります。

ところが、ブラジルの小学校のインターネット教育は、自分で描いた絵をネットにアップしようと。近所の人たちはその日に子どもたちの絵がアップされることを知っているから、帰宅途中で、「○○ちゃんの絵、見たよ。すごかったね!」みたいに声をかけてもらえる。アップロードの楽しさを教えているわけです。

出口 治明(以下、出口):人間は、人から何かをもらうだけではダメで、主体的に何かを付け加えていかなければいけないのです。僕がグーグルを面白いと思うのは、グーグルの理念を見たときに、どこかで見た記憶があったのです。

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