「何をしたいか」が定まってない人は大成しない

出口治明×尾原和啓「歴史がなぜ面白いのか」

出口:ただ、1つ言えることは、「何をしたいのか」という理念が大事だということです。僕はAPUの学長になって最初に起業部をつくりました。学生と面談をしていて、「起業したい」「NPOをつくりたい」という学生がたくさんいたのに、大学が応援しないのはおかしいと思ったからです。起業部をつくったとき、単にベンチャーを興したいとか、起業したいという学生は全部落としたんです。

尾原:起業を手段だと思っている人はダメということですね。

出口:何でもいいから起業したい、インターネットを使って「何か」をしたい学生には、もう1回何がしたいのかを考えて来いと。インターネットを使って「何が」したいのか。こんなことをしたいという情熱がなければ、長続きしません。

尾原和啓(おばら・かずひろ)/IT批評家。1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、グーグル、楽天の事業企画、投資、新規事業に従事。経済産業省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザーなどを歴任(撮影:干川修)

尾原:APUというと、90カ国以上の国・地域から人が集まっているグローバルな面にばかり注目が集まりがちですが、故郷を盛り上げるために広島・尾道でアーモンド農園を始める学生がいたり。

出口:それでいいと考えているのです。世界中から学生が集ってくるのだから、活動範囲はむしろどこでもいい。やりたいこと、情熱を持っていることは長続きする。いまの時代、インターネットを使うアイデアはものすごく多いのですが、その前に、自分の人生で何をやりたいのか、夢は何なのか。そういう夢がなかったら、やりたいこととか好きなこと以外に、長続きしません。

尾原:そういう意味でも、歴史が好きなのは、最後はやっぱり人にワクワクしたいからですか。

歴史は読んで面白いものしか残らない

出口:歴史はね、面白いんです。なんで面白いかといえば、面白い話しか残らないからです。

尾原:なるほど。物語自体が淘汰圧力にさらされるから。

出口:そうです。歴史は、いままでの地球上に生きてきたすべての人々の生涯の物語の集積ですが、ある村で生まれた人が大酒飲みで、飲みすぎて早く死んだなどという話は残らない。残る話はみんな面白いんです。だから、時間軸とエビデンスベースの勉強ができるだけではなく、きちんと書かれた歴史は、面白くて当然なんです。

尾原:次の世代に伝えたくなるくらいの何かがある。その何かを学ぶことで、自分も次の世代に伝えたくなるような人になれるかもしれない。

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