「何をしたいか」が定まってない人は大成しない

出口治明×尾原和啓「歴史がなぜ面白いのか」

尾原:残り時間が少なくなったので、ずっと気になっていたことをお聞きします。対談前の雑談で、出口さんは、僕の本で気に入った箇所があったとおっしゃっていましたが、あれはどこですか?

出口:尾原さんがあとがきで、「この本には独創的なところは何もない」と正直に書かれていたところです。いろんな人に聞いたり、いろんな人に教えてもらったことをまとめただけだと。そこに共感しました。僕も歴史のことを書いたり、いろんな本を書いていますが、僕には独創性もクリエイティビティもないので、いままでの人生で、いろんな人に教えてもらったり、本を読んだり、旅で学んだことをまとめただけなんです。よく「クリエイティビティが大事」といいますが、そんなものが、みんなにあったらおかしいです。

尾原:ハハハ(笑)。

出口:アインシュタインのようなクリエイティビティを持つ人は100年に1人、数百年に1人しか出ないわけです。それ以外の発明や発見は、ほとんど誰かの真似です。だから、いいものはどんどん真似すればいいし、教えてもらったことはまとめて、いろんな人に伝えていけばいい。ほとんどの本がそうだと思いますが、尾原さんのように正直に述べているのはすばらしいと思って、感動しました。

尾原:本という形にすると権威だと思われるのが怖いし、僕はまとめただけだから、みなさんも次にまとめてほしい、というのが1つ。もう1つは、こうやってまとめたものを、もう1回まとめ直せば、新しいものができる、ということです。次を動かすために歴史があるとすれば、僕がまとめたものと、別の人がまとめたものがかけ合わされていくうちに、さらに遠くのものとかけ算する人が現れて、そこにまったく新しいものが生まれると思っています。

人間が知りたいのは全体像

出口:イノベーションは既存知の新しい組み合わせであって、新しいものをゼロから考えているわけじゃないんですよね。

『ネットビジネス進化論』(NHK出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

僕は本当に素人で、単に歴史が好きなだけのオタクなんですが、なんで日本史も世界史も通史を書いているかといえば、部分部分を書いてある本は山ほどあるのですが、人間が知りたいのは、全体像だという思いがあるからです。僕が書けるということは、素人でも書けるんだから、とくにプロの人に通史を書いてほしいと思って書いているのです。

尾原:はい、そのとおりです。

出口:僕はすべての本で、自分個人のメールアドレスをオープンにしています。意見や感想がほしいからです。ある友人からは「えらい無防備ですね」と言われたのですが、変なメールは消せばいいだけなので。

尾原:まとめるのは、過去を威張るためじゃなくて、未来を新しく編み出すためですね。

(構成:田中 幸宏)

キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • おとなたちには、わからない
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • コロナ後を生き抜く
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ついに上場廃止、大塚家具の末路
ついに上場廃止、大塚家具の末路
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
2050年の中国<br>世界の覇者か、落日の老大国か

米国と並ぶ超大国を目指す中国。しかし中国の少子高齢化はこれまでの想定を超える速さで進行しています。日本は激変する超大国とどう付き合うべきか。エマニュエル・トッド、ジャック・アタリ、大前研一ら世界の賢人10人が中国の将来を大胆予測。

東洋経済education×ICT