「何をしたいか」が定まってない人は大成しない 出口治明×尾原和啓「歴史がなぜ面白いのか」

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尾原:「世界中の情報を有機的につないで、どこからでも誰でも使えて便利にする(Our mission is to organize the world’s information and make it universally accessible and useful)」というのがグーグルの理念ですね。

出口:はい。どこで見たんだろうと思い出してみたら、昭和20年代の終わりに、日本図書館協会がつくった理念にとても近いのです。

つまり、図書館はグーグルと一緒なんです。世界の知恵を集めて、誰でもいつでも利用できるようにする。そのときに思ったのは、グーグルはなんで伸びたのかといえば、彼らの理念ややりたいことが非常にソーシャルで、人々の琴線に触れたんだなということでした。やっぱり何をしたいのかというところが決定的に大事であって、インターネットはあくまでツールにすぎないわけです。

将来予測は誰にとっても難しい

出口:インターネットがこの先どのように便利になっていくか、僕には想像できないというのは、苦い経験があるからです。ライフネット生命を2008年に始めたとき、僕が考えたのは、保険の本質は子育ての期間のリスクヘッジだということでした。

尾原:子どもが巣立つ前に自分にもしものことが起こったら、子どもを育てられないかもしれない。

出口治明(でぐち・はるあき)/1948年、三重県に生まれる。京都大学法学部卒。1972年、日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退社。同年、ネットライフ企画株式会社を設立、2008年にライフネット生命保険株式会社と社名を変更し、社長に就任する。12年上場。社長、会長を10年務める。2018年、立命館アジア太平洋大学(APU)学長に就任。

出口:せっかく赤ちゃんが生まれても、自分がすぐに死んでしまったら、教育もできない。だから、おもなターゲットは30歳であるべきだと考えて、30代の所得を調べたら、平均で300万円くらいでした。ところが、大手の生命保険会社が売っている商品の保険料は毎月1万5000円から2万円くらいしていた。

尾原:若い人が1万円、2万円出せるのかと。

出口:出せない。ならば、保険料を半分にするしかない。保険料を半分にして、安心して赤ちゃんを生んでもらおうと思ったときに、保険料を半分にする手段はインターネットしかなかった。そう思って始めたのですが、そのときは、スマホがまだなかった。

尾原:パソコンで簡単に見積もりができて、シミュレーションできて、すぐに保険の申し込みができるというのが画期的でした。

出口:そこにスマホが出てきた。どうしようかと考えたときに、こんな小さいもので保険を申し込む人なんているはずがない、と考えたんです、僕もパートナーの岩瀬大輔も。

尾原:えー、意外です。そうだったんですね。

出口:そこで、スマホは資料請求に寄せることにしました。ところが、ファクトはどうかといえば、いまはスマホ経由の申し込みのほうが断然多いわけです。こんな小さいことを予測、判断できなかった僕に、将来のことなんかわかるはずがないと。

尾原:いやいや(笑)。

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