たこ焼きの「築地銀だこ」を運営する、ホットランドが9月末、東証マザーズに上場を果たした。「ときどき利用しているよ」という読者の方々も多いはずだ。だが、参入が極めて容易な「たこ焼き」で、しかも近年までは、たこ焼き1本の事業だったといってよい同社が上場を果たしたのは、きわめて異例のことだ。
実は、上場の背景には、経営論のセオリーを覆す信念があったのだ。今回は創業者・佐瀬守男社長の話をもとに、常識にとらわれない、ブレない決断について考えていこう。
売り上げは「1日350円」の日も
もともと佐瀬社長が、愛車を売った40万円を元手に、今の銀だこの前身となる店舗を群馬で立ち上げたのは1988年。当時は、スーパーの敷地内で、たこ焼き、焼きそば、大判焼きなどを佐瀬社長自らが焼いていた。
しかし、当時はどこにでもある「粉もの屋」で客入りは悪かった。待たせたくないので、作り置きをする。すると、味が落ちてしまい、客入りが悪くなる、という悪循環。売り上げは、なんと1日わずか「350円」の日もあったという。
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