たこ焼きの銀だこが、上場を果たしたワケ たこは8本でも、たこ焼き1本足の常識外れ経営

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通常規模が拡大すれば「スケールメリット」が働くが、銀だこに関しては「スケールデメリット」の方が大きくなってしまっていたのだった。

タコリスクは、タコで回避する!

こうした場合、経営論のセオリーで言えば、リスクの高いたこ焼き業態はほどほどに、他の飲食業態にも進出して、拡大していくのが飲食チェーンの経営戦略の王道だ。しかし、たこ焼きにこだわる銀だこは違った。「タコのリスクは、自らのタコで回避する」べく、商社任せの調達から、タコの自社調達にかじを切ったのだ。

世界中の海から契約漁業でタコを調達。なんと、タコをとらない、食べない国に対しても、タコのとり方をゼロから指導して、世界中でタコ漁を展開した。たこ焼き屋がアフリカの僻地まで行ってタコ漁業を指導したわけだ。加工用には、国内工場で体制を整えた。さらには、本格的には世界で初めて宮城県・石巻市でタコの養殖体制の構築も進めている。

たこ焼き業態に徹底してこだわるからこそ、たこ焼きの機械も「完全自社特注」のオーダーメード品で統一。従業員のレベルを底上げするため、銀座の研修センターで教育体制も整えた。こうしてたこ焼き専業業態にふさわしい体制を本気で整えた。

佐瀬社長は、「もし、たこ焼き以外の事業にも当初から注力していたら、現在はなかった」と断言する。最大の成功要因は、逃げずに「タコ焼き1本に絞り込んだこと」だと言うのだ。

つまり、銀だこは、たこ焼きに絞り込んで自ら退路を断ったので、逃げ道がなかった。逃げ道がないからこそ、タコの調達など、常識にとらわれず創意工夫ができ、逃げなかった中で、社員みんなの気持ちが一つになっていった。

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