なぜ香川真司はドルトムントで復活したのか 異動や転職で「戻っても必要な人」になるための条件

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古巣である独・ドルトムントで見事に復帰戦を飾った、香川真司選手。出戻りもこれからは珍しくなくなるかもしれない(picture alliance/アフロ)

秋の人事異動の季節だ。いつも突然で恐縮だが、もしあなたが今の職場を離れ、2年後に戻ったとしたら、周囲は拍手喝采で迎えてくれるだろうか。そして、より厳しくなるかもしれない条件で、あなたは、誰よりも成果を出すことができるだろうか。

実は、つい最近、プロサッカーでそれに近い状況があった。2年ぶり(3シーズンぶり)に英国のマンチェスター・ユナイテッドU(マンU)から、ドイツのドルトムントに復帰した香川真司選手だ。8万人超のファンとチームメートが復帰を祝う中、復帰戦でいきなり「マン・オブザ・マッチ」に選ばれるという大きな成果を出したのだ。

香川選手をビジネスシーンでの職場復帰に置き換えれば、その難しさはよくわかる。このところ筆者は、アジアを中心に企業の戦略転換の決断を論じてきたが、今回は、人事異動のシーズンでもあり、時間を経ても周囲から信頼され、成果を出せる、「出戻り」の秘訣を考えていこう。「真司で人事」ではないが、サッカーに興味のない人も、プロフェッショナルの組織で活躍するための材料として、お読みいただければ幸いだ。

どでかいキャリア形成に挑むリスクとは

香川が、ドイツのドルトムントでの活躍を経てイングランドプレミアリーグのマンUに移ったのは、2年前の2012年夏。ドルトムントではドイツリーグ2連覇の立役者だった彼の移籍は、ビジネスに例えれば、今の職場で過去前例がないほどに活躍していたにもかかわらず、全くの新天地に自ら望んで異動したようなものだった。

プロスポーツ選手として活躍できる期間が30代までとすればビジネスパーソンよりも圧倒的に短い。新しい環境で活躍できる保証は全くないが、それだけ短い職業人生においての、思い切ったチャレンジだった。

次ページなぜ香川は、いきなり古巣で活躍できたのか?
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