「半分降りる」ことはどうなのか?
「ヒラを生きる極意を聞きたいのです」という内容のメールをもらった。送り主のT氏は47歳。妻と高校生、中学生の子どもと4人暮らしである。大学卒業以来、上場企業の子会社である販売会社(従業員約200人)に勤めており、現在は課長の地位にある。47歳という年齢を考えれば、平均的に出世してきたと言えるだろう。
T氏が働いている会社は、大幅な組織変更が検討されていて、それに向けて上司との個別面談が予定されている。管理職としての力量を見極めるためだという。管理職の割合が高く、コスト削減の観点からも役職の削減を行う予定で、T氏もその対象になった。そこで、ヒラ社員になって執筆に取り組んだ経験がある私の話を聞いてみたいと思ったという。
「極意かぁ」と苦笑しながら、ビジネス街の喫茶店でT氏と会った。
彼は、長年経理を担当しているが、入社時から、会社生活にはそれほどなじめなかったという。若い頃は、日曜日の夜になると気分が沈む「サザエさん症候群」だったそうだ。経理の知識は豊富で、実務に弱い部長を十分にサポートできるレベルにあるものの、社内の仕事には意味を感じていない。そのため、自分は「働かないオジサン」だと自認している。
T氏は、今回の組織改編の機会に「役職を降りてもいいかな」と考えているという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら