働かないオジサン問題をクローズアップさせた「高年齢者雇用安定法」
最近は、週刊誌や経済誌の特集で、中高年(働かないオジサン)問題がよく取り上げられるようになってきた。
原因はいくつかあろうが、最も大きいのは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部改正であろう。
急速な高齢化の進行に対応し、年金受給開始年齢まで、意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備を目的として、2013年4月1日から、希望者全員を65歳まで雇い続けることが企業に義務づけられた。
この法律の施行は企業に対して、大きな課題を突き付けた。それは働かないオジサンを生み出す構造と深く関係している。
新卒一括採用によって毎年大量の入社者が続く一方で、会社組織はピラミッド構造になっている。そのため、中高年になるほどポストの数は先細りする。これが働かないオジサンを生み出す一因だと、連載第3回で詳しく説明した。
日本の多くの企業では、毎年毎年、ところてん方式で社員が後ろから順繰りに押し出されてくる。欠員補充の中途採用が中心で、役員すら外部から登用することが普通である欧米の企業とはまったく異なるのである。
そして、そのマネジメントの根底には、社員の能力やスキルにそれほど目を向けない、能力平等主義とでも言える人間観がある。だから、全員が一律に上位職を目指して上がろうとするのである。言い換えると、組織運営重視、組織偏重と言えるかもしれない。
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