働かないオジサンが「ヒラを生きる」極意 「自ら役職を降りる」選択は正しいのか

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名刺に多くの役割を書いているT氏

T氏からもらった名刺は2枚。1枚は会社の名刺で、ごくごく普通のもの。もう1枚の個人の名刺には、似顔絵とともに、自分の信条やブログのアドレスも書かれていた。ひっくり返して裏面を見て驚いた。

市のスポーツ推進委員や子供会役員、市民大学評議員など15個の役割が書かれていた。そのため休日は、けっこう忙しいそうだ。ただ平日は、それほど仕事がなくても、周囲に気を遣って遅くまで会社に残っているという。

「役職を降りてもいいかな」と考えた理由は、大きく2つ。デキレースで降ろされるぐらいなら自分から降りたいと思ったことと、降りることによって平日も比較的早く退社しやすくなり、自分のやりたいことに取り組みやすくなることだ。

奥さんがどう言っているかをT氏に聞いてみると、「自分から役職を返上するなんてことはするべきじゃないわよ。ただでさえ安い給料なのに」と言われたそうだ。T氏は、「『ただでさえ』は余計なんですが」と笑いながら答えてくれた。

この手の相談への対応はそれほど簡単ではないし、100%正しいアドバイスなどありえない。そんなことで解決するのなら、わざわざ相談なんかには来ないからだ。また、ある時に、ある人に役に立ったアドバイスが、似たような状況の他の人にはフィットしないことも多い。むしろ異なる観点の意見に多く接することが、問題を解決する有効な手立てになることが多い。

そのため、本コラムでは私なりの回答を書いたが、ぜひ、あなた自身がTさんの相談に乗っていると想定して、あなたの見解を聞かせてほしい。いろいろな人の意見を聞きながら、「ヒラを生きる」ことについて考えてみたいからだ。応募方法は、本コラムの最後に掲載した。

「降りる」ということに意味があるのか?

多くの会社組織は、社員にキャリアアップの道筋しか示していない。T氏の会社もそうである。背景には、役職や年収を与えれば、社員のモチベーションは自動的に上がるという会社の考えがある。

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