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日本で長引くコメの高騰に、中国ではチャンスの声。おいしいブランド米も増えて日本への輸出に関心が高まっている

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日本でコメ価格高騰が続く中、高級米市場が成長した中国でも日本への輸出を望む声が広がる。

中国黒龍江省の五常大米の水田
中国のブランド米「五常大米」の水田。黒龍江省五常の特産品となっている (筆者撮影)

日本のコメ不足を機に中国でコメの対日輸出に関心が高まっている。中国東北部では歴史的要因から日本のイネを改良したジャポニカ米が大量に栽培されており、所得増加に伴い、食味のよい中高級米の流通も増えている。日本の銘柄米より価格は格段に安く、ネット上では「日本へ本格的にコメを輸出すべきだ」との主張も出始めている。

中国はジャポニカ米でも世界最大の生産国

日本の「米騒動」に対する中国社会の関心は高い。訪日旅行経験者の増加などで「日本のコメは高品質でおいしい」との評価は定着している。今年4月、日本のメディアが報じた「日本の観光客が韓国からコメを持ち帰っている」とのニュースは中国国内でも伝えられ、SNS上では「中国のコメのほうが安くてうまいぞ」「日本に旅行に出るときはコメを担いで行かないと」といった書き込みで盛り上がった。

中国のコメ生産量(2024年)は3億4500万トンで世界一。市場規模は15兆円を超える。日本の生産量は683万トン(同)なので、まさに桁違いだ。そのうち1キログラムの価格が12元(1元は約21円)以上の中高級米の市場規模は1兆2600億円に達する。

中国のコメ生産量のうち日本産に近いジャポニカ米は40〜50%を占め、世界最大の生産国だ。主な産地は東北部の黒龍江省や吉林省、遼寧省など。20世紀前半、同地域には日本統治下の朝鮮半島から多くの農民が移住し、日本産のイネの品種が大量に持ち込まれた。その後、日本からの開拓移民や中華人民共和国成立後の政府研究機関などによって改良が重ねられ、品質が向上、生産量も伸びた。中国で人気の「ブランド米」の多くがその子孫だ。

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