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日本領空を侵犯した中国海警局の言い分には矛盾、アメリカも察知する軍事的活動をエスカレートさせる中国の変化

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中国海警局のヘリコプターが日本の領空を侵犯した。海警局の動きが変化している中、背景の分析が必要だ。

中国の海警局は行動を変化させているとみられる (写真:Sergey Ponomarev/The New York Times)

日本の防衛省は、2025年5月3日、中国海警局の巡視船から発進したヘリコプターが沖縄県の尖閣諸島周辺の領空を侵犯し、航空自衛隊がF15戦闘機2機を緊急発進させたと発表した。

中国機による日本領空の侵犯は、2024年8月に中国人民解放軍の情報収集機が長崎県の男女群島周辺の領空を侵犯して以来、4回目だ。

防衛省と那覇市によれば、同日12時18分ごろ、4隻の海警局巡視船が尖閣諸島周辺の日本領海に侵入。そのうちの1隻から1機のヘリコプターが発進して、12時21分から36分まで領空を侵犯した後に巡視船に戻った。

一方の中国の海警局報道官は、同日、「釣魚島」(尖閣諸島の中国の呼称)上空に日本の民間航空機が侵入したが、海警局のヘリコプターが出動して警告し、同機を追い払ったと発表した。日本の民間航空機は、同日11時19分に「中国領空」に侵入し、同24分に空域を離れたという。

矛盾がある中国側の説明

この海警局の言い分には矛盾がある。本気で対領空侵犯措置を考えたならば、中国は本土から戦闘機を緊急発進させただろう。ヘリコプターは速力が低く、一般に、空中戦を行える武器を搭載しておらず、対領空侵犯措置に適した機体ではない。しかも、海警局のヘリコプターが発進したのは、日本の民間航空機が尖閣諸島上空を離れた後1時間近く経過してからだ。その時間差を見ても海警局が実質的に「領空侵犯」に対処しようとしたとは考えにくい。

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