米中貿易戦争で苦しむように見えるが、消費中心の経済構造に転換する契機になるかもしれない。

米中貿易戦争がかつてないレベルにまで激化している。報復合戦はエスカレートし、アメリカは中国からの輸入品に145%の追加関税を課し、中国は報復としてアメリカからの輸入品に125%の追加関税を課すに至った。
アメリカの対中関税引き上げに対する中国の報復は、当初ローキーなものだった。アメリカがすべての中国輸入品を対象に2月に10%、3月に追加で10%の関税を課した。一方で中国は、2月に液化天然ガスなどの資源に10〜15%、3月にトウモロコシなどの農作物に10〜15%の対米追加関税実施と品目を限定して報復。ジェトロによれば、アメリカからの輸入額に占める追加関税対象品目の比率は2月が8.5%、3月が13.6%だった。
中国政府は、米トランプ政権とは過度な関税合戦になる前にディールも可能と考えていたようだ。しかし、トランプ政権が4月2日に対中関税をさらに34%課すと発表。中国もアメリカからの輸入品に対する34%の追加関税を発表し、全面対決モードに転換した。
中国経済への影響は深刻化も慌てていない
中国は、トランプ大統領が就任前から公約に掲げていた対中関税一律6割実施を最悪ケースと想定していた。この場合、中国のGDPを最大2%程度下押しするとの試算もあった。3月の全国人民代表大会で決められた財政拡大規模はGDPの2.1%相当で、関税に備えたものとなっていた。アメリカの145%の追加関税は想定を大きく上回り、中国経済への影響はより深刻なものとなるのが確実だ。
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