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アメリカの圧力など「未曾有の変革期」と評価する国際秩序を前に中国は「わが事に専念」、「周辺工作」でアジアと関係深化狙う

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アメリカの圧力が続き、国際秩序が流動化する中で、中国は外交で試行錯誤を続けている。

習近平氏は国際情勢の行方を警戒し、「発展と安全の両立」に苦心する (写真:Erin Schaff/The New York Times)

「集中精力辦好自己的事(わが事に専念する)」。こう題する評論記事が、4月7日付の人民日報1面に掲載された。

同記事は、アメリカによる相互関税の導入を世界的な趨勢に逆行するものと批判し、これに断固として対応すると表明した。短期的には中国経済に下方圧力が強まることは避けられないと告白するものの、それでも「天塌不下来(天は落ちない)」と言い、準備はできていると勇ましく宣言してみせた。

同紙1面に掲載される、本報評論員という署名の評論は、指導部の戦略的意図を内外に発信するものだと理解されてきた。

アメリカは、2月4日から中国産の全製品に10%の追加関税を課す大統領令を発して以降、次々と中国向けの関税措置を講じてきた。4月7日の記事は、2月以来初の対米関係に関する本報評論員の署名記事だった。

つまり評論掲載は、一国主義・保護主義が台頭し、制裁的な貿易管理措置を選択するアメリカへの戦略方針について、指導部内の意思統一ができたことを示す。4月9日に国務院新聞弁公室が『中米経済貿易関係の問題に関する中国側の立場』と題する白書を発表したことは、この推察を支える。

「リスク」と「罠」に備える中国指導部

「百年未有之大変局(百年来の未曾有の変革期)」。これが中国指導部の、現状の国際秩序に対する評価である。習近平国家主席は、2017年12月、中国の在外大使や総領事を北京に招集した「駐外使節工作会議」で、国際秩序の未来をこの言葉で語った。

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