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長く続く景気低迷で、ようやく「内需拡大」へ方向転換した中国政府の姿勢は本物なのか

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中国政府は内需拡大による景気回復への方針を明確にした。改革への言論も広がっている。

中国政府は低迷する消費を押し上げて不況から回復しようと狙っている (写真:Qilai Shen/The New York Times)

3月に開催された今年の全国人民代表大会(全人代)において中国政府は内需拡大によって景気回復を目指す方針を明確にした。採択された「政府活動報告」では2025年度の政府の重要任務の先頭に「消費の押し上げによる内需拡大」が明記された。

もちろん政府が方針を示したからといって、実際に消費需要を拡大し、経済を回復基調に乗せることができるどうかは未知数である。ただ、中国経済にとっての明るい材料は、全人代で言及された一連の景気対策を、政府が先送りせず素早く着手する姿勢がみられることだ。例えば3月末には、特別国債の発行などを財源とした国有銀行4行への最大5200億元の資本注入の実施が公表された。

また、中国共産党中央弁公庁と国務院弁公庁は3月16日に「消費振興特別行動プラン」を発表。消費者の所得向上と負担軽減による消費力の向上、消費財のアップグレードによる需要創出、消費マインドの刺激を通じた需要の押し上げなど、消費需要の拡大を目指す包括的な政策パッケージが示された。

労働者の権利保障で消費需要を喚起

この政策プランの大きな特徴は、それまで習近平政権が重視してきた供給サイドのイノベーションと内需の拡大を両立させようという姿勢が顕著なことだ。例えば「消費財のアップグレード」では、新たなスマート家電や自動運転、超高解像度ビデオなど新興テクノロジーの開発が、魅力的な消費財の提供を通じて最終消費を拡大させることが想定されている。

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