習近平「2029年」公約が漂わせるイヤな感じの正体 異例ずくめだった「三中全会」が示す中国の焦り
通例より半年以上遅れて開催された重要会議から読み取れるものは何か。
「建国80周年の2029年までに改革の任務を完成する」
中国共産党の重要会議、「三中全会」が7月18日に閉幕してから発表されたコミュニケ(声明文)に盛り込まれた一文には、強い既視感があった。2013年11月に開かれた三中全会でも、コミュニケには「2020年までに改革の決定的な成果をあげる」と書かれていたのだ。
しかし、そこには大きな違いがある。2013年当時、習近平氏は2023年まで国家主席を務めるとみなされていた。だから2020年のことを論じても不思議はない。2018年の憲法改正によって国家主席の任期制限は撤廃され、習氏はいま3期目を務めている。
それでも、党総書記は2027年、国家主席としても2028年に3期目の任期が切れる。つまり2029年というタイミングでの公約を掲げるのは、習氏は3期目を超えても権力を行使し続けるという宣言とみることができる。
三中全会は中国で経済政策の大きな方向性を示すための会議として知られている。その呼び名は、5年に1度の共産党大会で選ばれる200人ほどで構成される党の最高指導機関である「中央委員会」の、任期中「3度目」の「全体会議」であることに由来する。
「改革」ムードを必死に盛り上げた
今回の三中全会の開催を控え、中国の官製メディアは「改革」ムードを大いに盛り上げてきた。開幕日には国営通信社の新華社が「改革家・習近平」と題して、習氏を改革開放政策の生みの親である鄧小平と並べてほめちぎる記事を配信したほどだ。トーンが強すぎて本人のお気に召さなかったのか、現在は削除されている。
習氏は2021年の中国共産党100周年記念式典で、「中国では絶対的貧困の問題は解消された」と宣言している。「改革の決定的な成果」はしっかり上がったということなのだろう。
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