実はじわじわ広がっている「静かなる職場の分断」。「管理職になりたくない」社員が増加、その背景にあるもの

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管理職の男性
組織の中で進む「静かな分断」に気づいていますか?(写真:kou / PIXTA)
ジェイフィール代表取締役でコンサルタントの高橋克徳氏は2008年、ベストセラーとなった著書『不機嫌な職場』(共著)で、ギスギスした職場で社員同士が協力できない状況になっていることをまとめた。
それから17年。さまざまな課題を前に、職場では「心理的安全性」を高めようというスローガンがはびこるが、実際はどうなっているのだろうか。高橋氏の著書『静かに分断する職場 なぜ、社員の心が離れていくのか』から一部を抜粋し、再編集し、コロナ禍を経て今、起きている「静かに分断する職場」の問題に迫る。
【前の記事】「正社員vs非正規」「管理職vs一般社員」、職場に潜む“見えない壁”の正体。《何を考えているのかわからない》と心の距離は広がるばかり

組織行動学者であるエイミー・エドモンドソン教授が1999年に出した論文「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」で広まっていった「心理的安全性」という概念があります。

チームにおいて、「他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰を与えたりしない」という確信を持っている状態、対人関係にリスクのある行動をとったとしても、メンバーが互いに安心感を共有できている状態と定義をしています。「素直になることが許されるという感覚」とも言っています。

「声」を出せないのは「心理的安全性」の問題?

この概念をもとに、職場の中での心理的安全性を高めようという取り組みを行ったところもあるでしょう。

ただ、エドモンドソン教授の言うように、無知や無能、邪魔をしている、ネガティブだと思われる、そういった自分に不安があるから話せないという心理が強いからなのか。

異なる価値観、考え方の相手と対峙することで、余計なストレスを抱えたくないから話したくないという心理が強いからなのか。

本当はどちらが起きているのでしょうか。

前者の場合は、本来は言いたいことがあるけれども、それが言えない人たちが前提です。一方で、後者の場合はそもそも言いたいことを言わないほうがよい、そのほうが波風立てず自分を守れると思っている人たちが前提です。

これまでの調査データからわかるように、日本の職場で起きているのは、明らかに「後者」の心理です。

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