「100万回生きたねこ」→「100万回死んだねこ」、「わたし、定時で帰ります。」→「私、残業しません」に脳内変換されるのは必然だ

記憶というのはとても脆弱なものなのです(写真:hidekichi/PIXTA)
みなさんのなかには、自分の記憶力に自信があるという人もいるかもしれません。今までの受験やテストを、記憶力で乗り切ってきたと思っている人もいるでしょう。
でも実は、記憶というのはとても脆弱なものなのです。
それを示す実験を、今井むつみ氏の新著『人生の大問題と正しく向き合うために認知心理学』から抜粋し紹介します。
実験1:ものに名前がつくと、記憶が変わる
参加者は2つのグループに分けられて、絵とそれを説明する名前(ラベル)を見せられます。

(図:『人生の大問題と正しく向き合うために認知心理学』より)
見せられる絵は、全員、真ん中の絵(「刺激図形」の列)ですが、グループによってラベルが違います。同じ絵に、違う名前(「単語リスト1」「単語リスト2」のどちらか)がついているということです。
たとえば上から3つ目の絵を見てください。
1つ目のグループは、真ん中の絵に「三日月」という名前がつけられていました。一方、もう1つのグループは、「アルファベットの『C』」という名前がつけられていました。
そうした絵とラベルの組み合わせをいくつも見せられた後、
「さっき見た絵を思い出して、できる限り正確に描いてください」
という指示が出されます。
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