「100万回生きたねこ」→「100万回死んだねこ」、「わたし、定時で帰ります。」→「私、残業しません」に脳内変換されるのは必然だ
こうした指示のもとで描かれた絵(「再現画像」)は、左右でこんなに違います。
たとえば、「三日月」というタイトルを提示された人の絵は、完全に三日月の形に変わっていますね。ここで挙げている例は見本と同じ向きですが、中にはこの空いている向きが逆になってしまう人までいました。
下から2つ目の絵は、ただの2つの丸の真ん中に線が引いてあるだけなのですが、これに「めがね」という名前がつくと、多くの人は「めがね」らしい形に描いてしまいます。中には「つる(耳にかける部分)」を描いてしまう人もいました。
ことばの使われ方で変わるのは、もののイメージだけではありません。出来事の記憶もちょっとした言語表現で大きく変わってしまうことがあります。
実験2:後から聞いたことばのイメージで「見たはずのもの」が書き換わる
自動車事故のビデオを見せて、後でその車がどのくらいの速度で走っていたかを尋ねた実験があります。ワシントン大学のエリザベス・ロフタス教授らの実験です。
被験者にはビデオを見せた後で、「About how fast were the cars going when they hit each other?(車同士が衝突したときに、どれくらいのスピードで走っていましたか?)」と質問しました。その際、「hit」という単語を、次のように変えて質問しました。
・Collided(ぶつかった、衝突した)
・Bumped(ぶつかった、ぶつけてどかされた)
・Contacted(接触した)
「Hit」と比べて、「Smashed」「Collided」「Bumped」はより強い衝撃を、「Contacted」はより軽度な事故をイメージさせる単語です。同じ動画を見て、その状況を表した文の中で1単語だけを変えて尋ねた場合に、目撃者の証言はどう変わるのか、という実験です。
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