入社時点で優秀だった人が、活躍しない謎 そもそも、「優秀」の判定が誤っている?

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景気回復期になると、新卒採用に必死で取り組む会社について書かれた記事が増えます。いわゆる、採用難への対策です。

一例を挙げれば《インターンを積極的に活用する会社が増加中》

とか。早期に学生と接触して人材の確保をしたいからでしょう。ただ、採用は“頭数”をそろえるのが目的ではありません。少しでも「優秀な」学生を採用したいというのが企業側の本音です。そんな、“優秀層”の学生を採用したい会社が直面する問題が、いくつかあります。たとえば、男女の格差。これを象徴するコメントを人材派遣会社の人事部長から聞くことができました。

「採用基準を順守すると、男子学生はゼロになってしまう」

女子学生の優秀さが際立っているので、男子学生に「下駄を履かせて」妥協した選考を実施。全体のバランスを取っているとのこと。

また、リクルーターの必要性というのもあります。就職サイトに掲載して、優秀な学生の応募を待っていても成果にはつながりません。大手企業は卒業大学ごとに担当を決めて、優秀な学生に対して早めの接触をしているからです。たとえば、その時点で優秀と認識された学生に「飲みに行こう」と声をかけて、トコトン、マンツーマンで会社の魅力を語るのです。

こうした会社に、先行逃げ切りされてしまうケースは多々あります。ところが、中堅・ベンチャー企業だと優秀層の学生が多い大学の卒業生があまりいません。こうなると、大手のリクルーター攻勢を、指をくわえて見ているしかありません。

トップ入社組のその後を、人事部が知らない?

こうした優秀層を採用するための取り組みには、おそらく、莫大なコストと手間がかかっていることでしょう。ただ、採用時点で優秀と判定された学生は、入社後も優秀であり続けているのでしょうか? 注目したいのは会社(主に人事部)が口にする「優秀」という言葉の意味についてです。

優秀=職場で活躍してくれる能力を備えている

だと筆者は思いますが、会社が考える優秀の条件は正しいのでしょうか? ちなみに、取材した会社は

・論理的思考力
 ・リーダーシップ
 ・問題発見能力

が「かなり高い」学生に内定を出す際に、優秀=Aクラスとして格別の対応を施しています。たとえば、親睦会と称する学生の呼び出し頻度や、親睦会を開催する店舗のグレードをAクラスだけ変えているのです。それだけ優秀と判定した学生は貴重な存在。ゆえに人事部で必死で入社までフォローをします。

ところが、そんな優秀と判定された学生について

「その後の活躍度合は追いかけていますか?」

と人事部長に質問をぶつけたところ、表情が硬くなりました。そして、

「われわれの仕事は採用することであり。配属後の仕事ぶりには関知しません」

との回答が返ってきました。

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