入社時点で優秀だった人が、活躍しない謎 そもそも、「優秀」の判定が誤っている?

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多くの会社は面接において、流暢に見識があるように振る舞う学生を優秀と考えてしまいがちだと思います。いわゆる、表層的な説明力、分析力の高さに目が奪われている状態です。ただ、この優秀さは学生時点での比較にすぎません。会社に入社して研修を受けると、差は一気に縮まります。仕事で活躍している社員たちを分析すると

・責任感
 ・コスト意識
 ・ストレス耐性

など、学生時代に磨いたり、備える機会が少ないスキルで活躍していることがわかります。それゆえ、採用時点で見極めるのは簡単ではありません。それでも、このポテンシャルをあぶり出すことは不可能ではありません。取材したあるメーカーでは

「あなたの友人にあなたのことを尋ねたら、どのように答えると思いますか?」

「あなたの仕事観に影響のある人物と、その理由を教えてください」

と、面接で学生の価値観を知るための質問をぶつけて、ポテンシャルをあぶり出そうとしています。たとえば、仕事観に影響している人物について

Aさん 「つねに挑戦する勇気を持ち続けている孫正義社長を新聞で見て、影響を受けています」

Bさん 「インターン先の中小企業の方ですが、最後まであきらめない姿勢を貫く、○○というメーカーの○○社長の姿勢に影響を受けています」

だとしたら、どちらの回答をする学生を採用したいですか?発言に対する責任感は、どちらがにじみ出ていると思いますか?仮に話す姿勢は不器用で流暢でなくてもBさんのほうがポテンシャルを感じませんか?

こうした面接機会の工夫をすれば、会社で活躍する優秀な学生を見極めることは不可能ではありません。今後も、採用環境は厳しい状態が続くことが予想されます。ゆえに、会社が優秀と判定して入社したら、抜かりなく活躍してもらう状況にしたいものです。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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