入社時点で優秀だった人が、活躍しない謎 そもそも、「優秀」の判定が誤っている?

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入社した学生が立派に活躍しているかの追跡調査はしていないのです。これは非常に由々しき問題だと思いました。追跡調査をしないで、優秀が何かを見極めずに、自社で活躍する優秀層の採用が、果たしてできるのでしょうか?

ここで「優秀」の対極である「ギリギリ内定」レベルで入社したある社員の「その後」から、優秀の定義をあらためて考えてみたいと思います。

取材した人材派遣会社の営業部長であるDさん(42歳)は、入社時点の評価は「下位クラス」だったようです。それを裏付けるように、内定した後のフォローはナシ。一方、同期入社組の半数は頻繁に呼び出され、懇親会と称する飲み会で社長や役員と接していたようです。

「入社時点で、自分は会社からの期待が低い存在なのだと悟りました。そのため、仕事で結果を出すためにとにかく頑張りました」

そのかいあって、Dさんは入社して5年目あたりから頭角を現し、管理職へは同期トップで抜擢。現在も部長職として活躍しています。

ちなみに入社前の時点では、「優秀」と注目されている女性社員が数名いたそうです。そのひとりが入社3年目に結婚。続いて、別の1人が「自分を見直したい」と留学のために退職。その退職が残りの女性社員にも伝染し、同期で優秀と将来を嘱望された女性社員たちは、6年以内に全員が姿を消したそうです。続いて、女子学生ほどではないものの、優秀とされていた同期の男性たち。彼らは伸び悩み、ある人はDさんの部下になっているそうです。こうなると、何をもって、入社前に優秀と判定したのか、首をかしげたくなります。

表層的な能力に、惑わされていないか?

これは、極端なケースではありません。入社前に「優秀」と判定した学生が入社後に伸び悩む、退職してしまう現象が起きる会社は決して少なくありません。結局、採用選考で判定される優秀さの基準が誤っている可能性があると思います。やはり原因は、

《活躍する人材の条件が、人事部にストックされていない》

からでしょう。先述のとおり、入社後に活躍している人材の追跡調査をしている会社は多くありません。まさに採用と、入社後の育成で分断されている状態です。こう考えると優秀な学生は女性ばかり……という定説も、疑わしく思えてなりません。女子学生ばかりが優秀なのであれば、各社で女性の管理職は多数輩出されているはずです。では、“将来的にも”優秀な学生を確保するにはどうしたらいいのか? 本記事だけで十分に書き切れない点はありますが、

《ポテンシャルをあぶり出すための選考を行う》

ことではないかと筆者は考えます。

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