「成果給<ダラダラ働く人の残業代」の現実 「成果主義」第2次ブームに水をさす人たち

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大企業では労使交渉による賃上げの妥結額が15年ぶりの高水準になりました。それに追随するように、中小企業でも6割以上が2014年に賃上げを実施(経済産業省調べ)。その理由としては、社員の確保を理由に挙げる会社が大半です。

大企業の採用意欲が高まり、中小企業があおりを食っている様子がうかがえます。これは、会社勤めのサラリーマンにとっては朗報かもしれません。当面、続きそうな採用難が、賃上げを継続させてくれそうな気配があるからです。ただ、取材をしていくと

「長年、昇給が停止していたので、生活はまだまだ楽ではありません」

と回答してくれた人が多くいました。確かに賃上げ(昇給)を続けてほしいと願う気持ちはわかります。ただ、誰もが同じように昇給する時代ではありません。若いうちから給与格差がつくのが当たり前になっています。取材したある専門商社では、30代で年収格差が50万円以上も出る報酬制度が導入されていました。日本企業で給与格差がつくのは40代以降と言われていましたが、その起点がドンドン早まっているのです。

もう「頑張る」だけでは、給与は上がらない

では、住宅ローンや子供の学費を考えて、少しでも給料(ボーナス含む)を増やすためにはどうしたらいいのか?

よく「頑張らないと給料は上がらないぞ」と部下にハッパをかける上司がいますが、頑張れば上がる(昇給)のでしょうか? 残念ながら、頑張っても上がりません(断言)。給料が上がるいちばんの近道は“成果”を上げること。成果を上げれば、高い『人事評価』を獲得することができるので、翌年の昇給が大きい可能性が大。ちなみに会社の人事評価とは

S:期待を大幅に超える成果
A:期待を超える成果
B:標準的な成果
C:期待を下回る成果 
D:期待を大幅に下回る成果

 などと5段階にわけ、上位のSないしAの評価がついた社員は給料が大きく上がる仕組みになっている会社が多いようです。B評価での昇給幅は、大きなものを期待できません(数年間はB評価でも多少の昇給はするかもしれませんが)。

こうした『成果主義』の人事評価を導入している会社が過半数を超える時代になりました(日本能率協会の調査)。ゆえに、会社が“成果”に見合った給料を社員に支払おうとしているという“趣旨”を理解して、仕事に取り組み

「期待以上の成果を上げてくれたので大きく昇給します」

と上司からうれしい報告を聞きたいものです。

「成果主義」第1次ブームの残念な終焉

ところで、会社が成果に見合った給料を支払うようになるには、歴史的変遷がありました。これはぜひ、覚えておいてください。

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