今、あらためて日本の人材市場で、流動化が進まないことが問題視されています。日本政府は成長分野へのシフトや、産業・技術の新陳代謝を進めるためには、新たな人材の流入が必要と宣言。既存産業で活躍する人材の移動を推進しようとしています。
人材の流動化において重要な役割を担うのは、当然のことながら中途採用市場(転職市場とも呼ばれます)。ここで、DODA(インテリジェンス社運営)の転職求人倍率レポートで、最近の求人数と転職希望者の推移をみてみましょう。
景気が回復し始めた時期には求人も少なかったのですが、徐々に増加。つれて求人数の増加に追随するように、転職希望者も増加。こうして求人と転職希望者の需給バランスが取れてきて、中途採用市場は活気づいてきました。景気と中途採用市場の動きには時間軸でズレがあるのです。
転職バブルで、”成功者”が増加?
さて、活性化してきた中途採用市場で転職活動をし、“成功者”と自負する人が増えているように感じます。具体的には
・年収が増えた
・やりたい仕事を任された
・役割が上がった
とキャリアアップ(少々古い言葉ですが)を実現した人。金融機関に勤務していたGさんは外資系コンサル会社に転職し、年収ベースで2割アップしたそうです。さらに
「学生時代に希望してかなわなかったコンサルタント職に就くことができました」
とうれしそうに語ってくれました。ちなみに、かなわなかった夢を後日に実現した転職のことを《リベンジ転職》とも言います。古い話ですが、現在はメジャーリーガーの松坂大輔選手が日本で活躍していた頃に、負けた対戦チーム対して「リベンジします」と宣言して話題になりました。当時は20世紀も終盤の1999年。バブル崩壊から徐々に景気が戻りつつあった頃のことです。日本の転職市場もそんな転職ができる、いい時代に戻りつつあるのです。
巧みなプロデュースか、誇大広告か
さて、転職で成功した人の特徴のひとつに
《巧みな分析力とプロデュース力》
があります。これまでの業務経験を振り返り、企業(人事部)が欲しくなるキーワードを整理。それを使って、巧みに自己アピールしているのです。たとえば、
・これまでに残してきた実績
・身に付いた専門性
に加えて、社内でかかわった話題性のある仕事の経験を交えて自己紹介。即、戦力になりそうな期待値を感じれば、会社側も「内定」と言いたくなるもの。こうして年収・ポジションを上げる転職を実現する人が増えています。でも、はたしてそうした自己アピールは本物なのでしょうか? 詐称とまでは言いませんが、かなりオーバートークで誇大広告になってはいないでしょうか。
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