悩ましいのは、会社サイドの焦りが、人材の「見極め」を甘くしている可能性がある点です。人材不足で社内にリソース(人的資源)が不足しており、現場から
「多少は条件を甘くしていいから、とにかく人手を確保してほしい」
と突き上げられ、一方「自分はできる」とする求職者の主張を十分に吟味せぬまま、内定を出してしまう状態になっているように感じます。
「欲しい」人材を採用するためには、選考プロセスには時間をかけたいところです。ただし、当然ながら、選考は他社でも同時進行しています。時間をかけすぎては、採り損なうリスクがある。そこで、どうしても性急な判断をしてしまうのです。
もちろん、その人が現場に配属して活躍してくれれば問題はありません。そこで最近、内定を得て、配属された社員たちが期待どおりに活躍しているのか、複数企業の人事部に聞いてみました。
すると、返ってきたのは残念な回答ばかり。担当者たちが口をそろえるのが、選考基準に対する疑問でした。当然ながら勤務先における仕事ぶり=「何ができるか?」が重要な選考基準になりますが、高い評価を得て入社した社員たちの活躍度が期待どおりではないというのです。
自分ひとりで最後まで「やりきる力」の著しい欠如
取材したある広告代理店の人事部の人は、「できる」と言い切ったことができないと嘆いていました。もっと正確に言うと
《自分ひとりで最後までやり切ることができない人が多い》
とのこと。営業現場では、この1年で入社した社員の仕事ぶりに不満が山積しているそうです。ある中途社員は、前職では大企業のクライアントを担当して、成果を上げてきた……との触れ込みで入社しました。ゆえに営業部の上司も
「これまでの経験を生かした業種から2社について、AEを任せたい」
と抜擢しました。AEとはAccount Exective(広告主に対して業務上専任となる営業担当責任者)のこと。責任あるメイン担当として、仕事を任せてみたのです。ところが、結果はガッカリなものでした。担当した2社についての対応で
・途中で頓挫する
・周囲に迷惑をかける
あるいは周囲がそうとうにサポートしないと、やり切れない状態になってしまうのです。
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