このほかにも、「ミラ事件」とよばれるもので、16歳の少女がネット上での発言をもとに反イスラム教としてみなされ、SNS上で多くの脅迫を受けたことで13人の被告人のうち11人が有罪になるという事件もフランス国内で多くの議論を呼ぶことになった。11人の被告人はみな18歳以上であり、執行猶予付きの禁固4~6カ月の有罪判決が下された。
こういった数々の事件に対する人々の反応をうけて、今回の法案には「学校でのいじめ(スクールハラスメント)」を厳罰化する提案がされることになった。この法案ではいじめの加害者であるとみなされた生徒に罰則を与えることとなり、その基準としては、8日以下の(医師の判断による)登校不可となるようないじめがあった場合は、その加害者に禁固3年以下と45000ユーロの罰金、8日以上と判断された場合においては、禁固5年以下75000ユーロの罰金となっている。そして自殺未遂や自殺の被害があった場合においては、禁固10年以下、150000ユーロの罰金となっている。
学校での暴力といじめは区別されている
ここでいういじめ(ハラスメント)という言葉のフランスにおける定義には、身体的・心理的・性的な暴力が含まれている。一般的には、個人、または複数の生徒が抵抗しない別の生徒にこういった暴力をはたらくことがいじめとして捉えられているが、どの形の暴力であっても精神的な暴力は受けることになる。
また、学校での暴力といじめは別のものとして区別される。生徒同士の喧嘩であったりする場合もあるからね。だから、いじめの場合には、ある一定期間の継続と、相手を傷つけようとする意志があると考えられている。近年は、ネット上のいじめである、サイバーハラスメントが、学校でのいじめの中で大きな位置を占めるようになってきている。
くみ:それと気になっていたのはフランスでのいじめの内容。私が20年ほど前に東京都内で小学校から高校まで通っていたころは、無視や仲間はずれ、陰口などが主ないじめの内容というイメージだった。
例えば、小学生のときに覚えているのは、服装が自由だった学校で、2日間同じ服を着てきていたおとなしい子が「汚い」「貧乏」などと陰口をたたかれていたこと。私はそこまで他人の服装を気にしていなかったからそんなことに気付いて指摘をすることに驚いたから今でも覚えている。それに他のことに気を取られていたら私自身も連日同じ服で登校しかねないし、そんなことを言われるなんて怖いなと思った。