中学の時は、もっと暴力的で身体的なハラスメントだった。学校が終わって校舎から出るときにしょっちゅうガラの悪い上級生が12,13歳の下級生を相手に脅してお金を巻き上げたりしていた。だから毎回帰宅時は気を付けないといけなかった。
そして僕の通っていた学校には、5月4日の聖バルバラ日に上級生が授業終わりに学校から出てくる下級生に向かって小麦粉やら玉子やいろんなものを力いっぱいぶつけてふざけあうということが、悪しき伝統行事のようにして毎年繰り返されていた。僕は物を投げつけられるのが嫌だったので、その日はできるだけ人を避けてバスに乗り込むようにしていた。
フランス版の新歓コンパがつらかった
大学やグランゼコールの時代には、おもに新入生を歓迎するために行われる「歓迎ウィークエンド」に関連するものが多かったかな。聞こえはいいけど、新入生にとっては試練みたいなものだったよ。アルコールを強要したり、よくわからないゲームや性的なゲームなどに無理やり参加させたり、いろんな方法で新入生に屈辱を与えることが目的みたいなものだった。
当時の僕はもうハラスメントは何度も見てきたので、このことにいちいち驚いたりショックを受けるほど繊細でもなかったので、このような行事にはすぐに参加しないようになった。今でも時々、新歓行事での死亡事故やレイプなどの事件がおきているので、まだまだ解決されていないといえる。
くみ:それもひどいね……。日本でいえば急性アルコール中毒で死亡する新入生の痛ましいニュースで悪名高い新歓コンパに当たるかな……。ただし私が大学に入って経験した新歓コンパは、上級生たちがすごく敏感になっていて、「急性アルコール中毒の問題があるから絶対に無理して飲まないように!」と頻繁に声がけしてくれてとても安心した。レイプはニュースにならないところで隠れて行われることはあるかもしれないけれど、定期的にニュースになるほどの頻度で起きるなんて、ちょっと考えられない……。
話を戻して、今回のフランスの厳罰は、刑事責任を問われない13歳未満には適用されないけど、低年齢でのいじめも日本同様にあるとすれば、そこへの対策はどうなっているのだろう? 今のフランスの学校では法律以外に何か対策を行っている?
エマニュエル:中学以前ではハラスメントの件数が少ないというのが理由の1つでもあるかな。まだ携帯を所持していないこともあってSNSの利用も多くなく、学校内でもかなり監視されているため中学以降のようにハラスメントの機会が少ない。