持ち込み4割増「フランス」作家希望者急増のなぜ さばききれずに出版社が受け付け停止する例も

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コロナ禍のフランスで書籍の売り上げが増えているだけでなく、出版社に作品を持ち込む人も増えているという(写真:encrier/Getty Images)

フランスに住む日本人女性のくみと、日本に住んだ経験を持つフランス人男性のエマニュエルが日本とフランスの相違点について語り合う本連載。今回はコロナ禍における、フランスの読書と執筆習慣についてです。フランスではなんとこの期間、本を読む人・書く人が大幅に増えたとか。ネットフリックスなど動画全盛の今、フランスで何が起きているのでしょうか。

2021年度書籍の売り上げは2割増加

エマニュエル : これまでコロナ禍以降のフランスにおけるさまざまな変化について話してきた中で、2021年の年末年始については、どちらかというとネガティブな変化が多かったと思う(フランス「年末の過ごし方」2年でこんな変わった)。そこで今回はポジティブな変化ということで、フランスでの読書や執筆の習慣について話してみよう。

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コロナ禍が始まった2020年以降は、ロックダウンや隔離、また文化施設の閉鎖に伴ってネットフリックスのような動画配信サービスが急速に発達したことで、フランス人はテレビやパソコンの前で過ごす時間が増え、読書に費やす時間はますます減ると思われていた。コロナ以前でも、年々パソコンやスマホに費やす時間が増えてきていたため、「本の終わり」を予期している人もいたくらいだった。

だが、実際は全くその反対だったんだ。2021年度の書籍の売り上げは2019年と比較するとなんと20%も増加したそうだ。そして出版数も同時に増え、2021〜2022年では、1月で600タイトル、9月にも600タイトルが出版され、2014年以降最多だそうだ。日本でも同じようなことは起きたのかな?

くみ : 日本でも長らく出版市場は苦戦を強いられていた。市場最盛期の1990年代半ば、2兆6000億円規模からずっと下がり続けて、紙の書籍中心の出版業界の友人なども「負のスパイラルから抜け出せない」なんてずっと嘆いていた。それが、やはり2020年初めにコロナの影響が大きくなってから少し変化が出てきたかも?というニュースを目にするようになったわね。

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