持ち込み4割増「フランス」作家希望者急増のなぜ さばききれずに出版社が受け付け停止する例も

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もちろん、その送料は自己負担になるけれど、最近では出版社約75%がメールでも原稿を受け付けているので、この場合は送料の問題もなくなる。また、アマゾンなんかがサービスを提供している自己出版も増えてきていて、これを使うととても簡単に出版することができる。

ネット以外の楽しみを見つけた人々

くみ: 日本でも、出版したい人は直接出版社に持ち込んだり連絡したりするからフランスとシステムはあまり変わらないね。出版社によって性質も方向性ももちろん違うから、出版経験がない人は内容や目指すものによって狙いを定めて戦略的にアプローチする必要があるのも同じかも。

私自身も子ども時代に辛かった記憶や体験をいつか世に訴えたいという気持ちがあって、エマニュエルに相談して2人で出版することになったわけだけど、フランスでまずエマニュエルが出版社に当たってくれて出版し、その後日本で私が出版社を見つけて出版したよね。

今思えば、多かれ少なかれ本が自分の人生に影響を与えてきたり、いろんなことを知ったり、学んだりすることが多かった経験があるからこそ、本を発信媒体に選んだのだと思うんだよね。昔から本の虫だった私としては、コロナが収束した後も出版業界が生き延び、高く評価され続けてほしいと願うばかり。

エマニュエル : そうだね。コロナが収束して以前のような生活に戻ったとしたら、今出版業界が経験している成長も終わってしまう可能性はゼロではないね。でも、この期間でテレビやネット以外にも読書や執筆の楽しみを再発見した人が少なからず存在しているわけで、本を書く人は1冊書いて終わりというわけでなく、その後も2冊、3冊と継続していくかもしれない。

もちろんコロナ初期のロックダウン時のような出版バブルみたいなものは永遠とは続かないけれど、本は困難な時であっても、人々の拠り所として残っていくだろうね。

佐々木 くみ 執筆家、イラストレーター

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ささき くみ / Kumi Sasaki

東京生まれの30代。フランス在住10年を超す。2017年10月に、エマニュエル・アルノーと共著で自らの体験をつづった『Tchikan(痴漢)』をフランスで出版。イラストも手掛けた。

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エマニュエル・アルノー 小説家

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Emmanuel Arnaud

1979年生まれ、パリ出身。2006年より児童文学、小説、エッセーをフランスにて出版。2017年にThierry Marchaisseより佐々木くみとの共著『Tchikan』を出版。2000年代に数年にわたり日本での滞在、および勤務経験を持つ。個人のサイトはこちら

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