フランスが「学校のいじめ」厳罰化に動いた事情 日本のいじめと異なるところはあるのか

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くみ:つまり、比較的低年齢であれば学校である程度コントロールできるということだよね。もう少し詳しく知りたいな。

コロナによる遠隔教育でタブレットなどを使用する必要も出てきているはずだけど、小学校ではスマホを含む通信機器類は小学校では基本的に全面的に禁止なの? それと、例えば口頭でのからかいや悪口、休み時間の仲間外れなど、小学校の敷地内でも教師の目の届かないところで簡単に起こりえると考えられることについても、つねに教師が見張っていたりするということ?

「加害者の未来を尊重すべき」フランスの考えは?

エマニュエル:そうだね、小学校で携帯やタブレット、ゲーム機は基本的に禁止されている。休み時間はみんな校庭にでて教師や監視役の人が必ずついている。もちろん全部監視することはできないけれど、この年齢の子どもは何かされたら大人に言いつけに行くことに中学生よりも躊躇しないので、表に出やすいというのもある。とはいえ、まったくないわけではないだろうとは思う。

くみ:あと日本では最近の事件でも「加害者の未来を尊重すべき」として未成年である加害者の未来を尊重する意見があって、中にはそれを理由に事実関係の調査や各教育機関による適切な処罰も行われないことがあるとの報道もあるけれど、フランスではこのような意見は今回強く出てきた?

エマニュエル:そういった意見はあまりフランスでは聞いたことがないかな。でも、さっき話したミラ事件なんかは、禁固数カ月だけという軽い刑罰のみだったことを考えると、加害者の未来への考慮も考えられていたのかもしれないね。

だが、今回のほうでは最大10年の禁固刑となっており、以前と比べるとはるかに刑は重くなった。中高生にとって10年を失うということは大きなことであり、加害者の未来よりも被害者への配慮に重きが置かれたと考えられる。そしてこれによってスクールハラスメントへの抑止に少しでもつながると期待してもいいだろう。

くみ:法整備でいじめ問題が減少することを願うばかり。そして被害者へのケアもさらに充実していくといいよね。

佐々木 くみ 執筆家、イラストレーター

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ささき くみ / Kumi Sasaki

東京生まれの30代。フランス在住10年を超す。2017年10月に、エマニュエル・アルノーと共著で自らの体験をつづった『Tchikan(痴漢)』をフランスで出版。イラストも手掛けた。

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エマニュエル・アルノー 小説家

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Emmanuel Arnaud

1979年生まれ、パリ出身。2006年より児童文学、小説、エッセーをフランスにて出版。2017年にThierry Marchaisseより佐々木くみとの共著『Tchikan』を出版。2000年代に数年にわたり日本での滞在、および勤務経験を持つ。個人のサイトはこちら

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